【職員インタビュー】「パソコンは全部苦手」それでも正社員に。『サクレ江戸川』中川さん
「自分の背中を押してあげて」
今の中川さんが、正社員になることに迷っていた頃の自分にかけたい言葉です。
今回は、2019年にグループホーム「サクレ江戸川」(以下、サクレ)で働き始め、パート職から正社員となった世話人の中川さん。
正社員になるまでの迷いや、苦手だったPC業務との向き合い方、そして利用者様への支援で大切にしていることについて、じっくりお話を聞きました。
「私にできるはずがない」から始まった正社員への道
――SHIPに入ったきっかけを教えてください。
中川さん
掛け持ちしていた仕事が不安定になり、本業だった日中一時支援事業所の方針や待遇にも納得できないところがあって、転職を考えました。
そんなとき、同僚から勧められたことがきっかけでサクレでパート職として働き始めました。グループホームは初めてで不安もありましたが、興味もありました。
――正社員の話を聞いたときは、どう思いましたか?
中川さん
本当に寝耳に水でした。「私にできるはずがない」と思いましたし、「(SHIP理事の)上田さん、どうしちゃったんだろう」と思ったくらいです(笑)。
パソコンはもちろん、年齢や体力も不安でした。それ以上に、世話人として利用者様の人生に関わり、支援の方向性について判断する責任を担うことに自信がありませんでした。
――それでも、引き受けようと思えたのはなぜですか?
中川さん
上田さんが何度も足を運んでくださったことが大きかったです。「パソコンは徐々に覚えればいい。同僚や上司に習いながらやっていけばいい。そこを重要視しているわけではない」と言ってくれました。
子どもや友人たちにも相談すると、「パソコンができなくてもいいと言ってくれる職場なんて、そんなにないよ」「やってみたら」と言ってくれました。最後は「無理だったらパートに戻してください」と伝えて挑戦することにしました。

「全部苦手」だったパソコン。それでも続けられた
――当時、パソコンはどのくらい苦手だったんですか?
中川さん
もう、本当に全部です(笑)。家ではYouTubeを見たり、ネットショッピングをしたりする程度で、Wordで文章を作ったこともありませんでした。
日々の記録を入力するだけでも大変で、「これ、どうしたらいいんですか?」と涙目でLINEしたこともあります。初心者向けのパソコン教室も体験しましたが、その1時間がとてもつらくて、今後仕事を続けていけるのだろうかと思うくらいでした。
――そこから、どうやって覚えたのでしょう。
中川さん
一番は、回数をこなすことだと思います。分からないことは何度でも聞きました。同じことを2~3回くらい聞くこともあります。でも、上司の方たちは嫌な顔をしないんです。
あるとき、電話をつないだまま「ここを押してみて」「今やった通りにやってみて」と教えてくれました。分からないまま適当にやる方が後で大変になるので、恥ずかしくても聞きます。本当にいい人たちに恵まれたと思います。
――今では、どんなことができるようになりましたか?
中川さん
Wordで文章を作ったり、シフト表から自分のユニットの部分を切り取って拡大して印刷したり、利用者様向けの掲示物にイラストを入れたりできるようになりました。
ただ、パソコン作業は今でも苦手な部類です。特にPowerPointは無理です(笑)。面談では紙にメモを取って後から入力しています。時間や手間はかかっても、今の自分にはそのやり方が合っています。

「辞めないでくれてありがとう」
――世話人になることを、利用者様はどう受け止めていましたか?
中川さん
そこはとても心配していました。でも、思った以上に皆さんすんなり受け入れてくださったんです。
中には、私が辞めてしまうと勘違いしていた方もいて、「次の月から世話人になるんですよ」と伝えたら、ぽろぽろ泣きながら「辞めないでくれてありがとう」と言ってくださいました。
嬉しかったです。同時に、利用者様は平気そうに見えても、「また職員が辞めるのかな」と不安だったんだろうなと思い、プレッシャーも感じました。
「正しい」が、いつも正解とは限らない
――支援で大切にしていることを教えてください。
中川さん
「正しいことが、いつも正解とは限らない」ということです。
お金を使いすぎる、生活リズムが整わない、日中活動に行けない。支援する側から「こうしましょう」と言うのは簡単です。でもまず、「どうしてそうなるのかな」と考え、「できないことってあるよね」と共感することが大切だと思っています。
利用者様の中には、「正しくなくてはいけない」と思い込んで、できない自分を責めている方もいます。だから私は「私もYouTubeを見て夜更かししますよ」など、自分のことも話せる範囲で話します。
支援者は完璧な先生ではありません。利用者様とは対等で、私にも欠点はたくさんあります。まず否定しない。認める。共感する。そこから始めたいと思っています。
――「本当は働きたくない」と話してくれた方もいたそうですね。
中川さん
周囲から就労を目指すよう勧められていた方が、あるとき「本当はまだ働きたくないです」と話してくれました。
私も何度か面談する中で、「本当に今、働きたいのかな」と感じていたんです。だから「話してくださってありがとうございます。そうですよね」と伝えました。働きたくないと思うこと自体は悪いことではありません。
その後、ご本人、相談支援専門員の方、ご家族と話し合い、まずは今の生活やデイケアへの通所を大切にする方向へ、支援方針を見直しました。以前は休むと「今日も行けませんでした。ダメです」と申し訳なさそうにしていた方が、少しずつ生活を楽しめるようになり、表情も変わってきたと感じています。

学ぶことも、「意外に嫌じゃない」
――入社後には介護福祉士も取得されていますね。
中川さん
サクレの他のユニットのパート仲間に勧められたのがきっかけです。その人がいなかったら取得していなかったと思います。
正社員になってからは学ぶことがたくさんあります。でも、研修や事例検討会、会議も今は嫌ではありません。以前は苦手だったのに、アドバイスをもらったり自分から発言したりすることも「意外に嫌じゃないな」と思うようになりました。
これからも、アンガーマネジメントやアサーショントレーニング、研修を受けたACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)など、支援に生かせることを学んでいきたいです。
迷っていた自分の背中を、自分で押してあげたい
――正社員になることに迷っていた頃の自分に、今なら何と声をかけますか?
中川さん
「自分の背中を押してあげて」って言うと思います。
正直、私はパートだった頃の方がきつかったです。正社員になって会議録や面談、関係機関やご家族とのやり取りなど、主体的に動く仕事は増えました。
でも、思っていたほど嫌ではありませんでした。自分でも知らなかったけれど、こういう仕事の方が性格に合っていたのかもしれません。
――最後に、SHIPへの転職を考えている方へメッセージをお願いします。
中川さん
福祉の仕事に興味がある方なら、未経験でも一歩踏み出してみてほしいです。
SHIPは研修も多いですし、上司や同僚も話しやすく、分からないことを聞ける環境があります。私自身、パソコンも苦手で、知識にも自信がなくて、正社員になることを何度も断りました。それでも周りに教えてもらいながら、気がつけば続けてこられました。
最初から何でもできる必要はないと思います。私もそうでした。興味があるなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。
中川さん、ありがとうございました!
苦手なことにも一歩ずつ向き合いながら、利用者様の気持ちを何より大切にしている中川さん、これからもご自分らしく、一人ひとりに寄り添う支援を続けていってください!
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フリーランス/リワークトレーナー/タスク管理習得支援ツール「タスクペディア」原作者
