【育成担当インタビュー】日本で一番クオリティーの高いサービスを目指して

上田知之さん

社会福祉法人SHIPの創設から携わっている上田さんにインタビューをしました。

SHIPの前進であるNPO法人SSSの時代から通算して20年強の福祉経験のある人です。

法人初の障害者事業であるラファミド八王子(グループホーム)を立ち上げて以降、必要だと考えた事業はどんどん開設していったバイタリティー溢れるスタッフです。

 

 

――現在のSHIPでの役割を教えてください。

 

上田:SHIPの理事を務めています。

わたしの役割は、サービス管理責任者とともに事業所を運営することに加えて、会社全体の経営やスタッフの育成を担当しています。

個人的には、過去にうまく支援できなかった利用者様、過去にうまく教えられなかったスタッフの皆さん、わたしの至らなさで迷惑をかけた人たちへの罪滅ぼしのために働いています。

 

 

――どうやら、やらかしてしまったことが多そうですね。

 

上田:たくさんやらかしています。

わたしは体育大の卒業で、その後はサービス業で3年間はたらき、SHIPの前進であるNPO法人SSSに20年前に入社しました。

福祉の知識や経験がまったくない状態でこの業界に入ったため、仕事でも、生活でも、努力や根性をみせない人たちが許せませんでした。

利用者の皆様へ努力を強要したり、スタッフへも残業を強要するなど、かなりストイックというか、いわゆるヤバいタイプの人間でした。

過去のことを思い出すと罪悪感と恥辱感で苦しくなりますが、この黒歴史を忘れずに精進し、罪滅ぼしをしていこうと決めています。

 

 

【仕事の動機は “罪滅ぼし” 】

――では、どのような罪滅ぼしをしているか教えてください。

 

上田:まずは、利用者の皆様に少しでも良いサービスが提供できるよう、スタッフの皆さんに少しでも良いアドバイスを提供できるよう、生活の空いている時間はなるべく勉強に充てています。

そのためもあって、福祉や心理に関する国家資格は、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士、公認心理師の4つが取得できました。

民間の資格では、アンガーマネジメントファシリテーター™TFTパートナー整理収納アドバイザーTAハッピーカードインストラクターを取得しています。

資格の取得以外にも、DBT(弁証法的行動療法)の履修、認知行動療法の履修にはかなりガチめに取り組んでいますし、TEACCHプログラムアサーティブコミュニケーションABA(応用行動分析学)森田療法といった学習にも力を注いでいます。

その他、障害福祉の仕事をしているので、障害そのものに関する学習には力を注いでいます。例えば、ASD、ADHD、うつ病、双極性障害、統合失調症、社会不安障害、パニック障害、強迫性障害、依存症、パーソナリティ障害、についてはくわしく勉強しています。

 

 

 

――学んできたことをどのように還元していますか?

 

上田:『知識』は、資料にまとめたり、とにかく人に伝えてアウトプットして記憶に定着させています。

『スキル』は、すべて自分自身で実体験することにしています。たとえば、心理療法などのスキルトレーニングは、自分の言葉で伝えられないと説得力がありませんので。

わたしはお金をいただくプロとして、障害のことをよく知らないくせに、またスキルを試してもいないくせに、適当に人に勧めたり支援することが失礼極まりないことだと思っています。

「こういうわけで、これが本当におススメです!」と、自信をもって紹介できる支援者でありたいと考えています。

ただ、自分には有効であったことでも、他の人には有効でない、というケースも多くあります。

それは、わたしの伝え方が下手だったり、実力不足だったり、タイミングが悪かったり、心理教育が足りなかったりと、実際にはうまくいかないことの方が多いのですが、自分の知識と経験を一生懸命に還元しようと努めています。

 

 

 

【日本で一番クオリティーの高いサービスを提供したい】

――そのような取り組みの結果として、SHIPをどんな組織にしていきたいですか?

 

上田:2つあります。

まず1つめは、SHIPを『日本で一番クオリティーの高いサービス』を提供できる組織にしたいというものです。

理由は、自分たちの意識や努力次第では、今日よりも明日の方が良いサービスを提供できるはずだからです。

福祉サービスの報酬は、どんなに良かろうが、どんなに悪かろうが、国が一律の料金を決めています。

手を抜いてもお金が変わらないなら頑張らない方がいい… という発想にもなりかねません。

でもそんなクソみたいな業界にはしたくないし、クソみたいな会社にはしたくないし、クソみたいな人間にはなりたくないので、あえて意識の高い目標を掲げています。

 

 

上田:2つめは、スタッフの皆さんに『SHIPに入ってよかった』と思ってもらいたいです。

皆さんが何にモチベーションを感じながら働いているかは分かりませんが、例えば、援助技術の向上にやりがいを感じる人には、それをたくさん提供できる組織でありたいです。

また、お給料の面やお休みの面も、可能な限り増やしていきたいですし、職場の人間関係も風通しよく一緒に成長を感じられる職場にしていきたいです。

まだまだ道半ばですが、本気でそうしたいと考えていれば、それに近づいていくと思っています。

 

 

 

 

【充実した研修システムがSHIPの魅力】

――では1つめの、クオリティーの高さを実現するために、どのような取り組みをしていますか?

 

上田:日本で一番クオリティーの高いサービスを提供するためには、やはりスタッフの皆さんのスキルアップが不可欠です。

そのため、人材育成や学習機会の提供にはかなり力を入れていると思います。

具体的には、社内の研修プログラムをつくり、支援に関することは業務時間内でも学べるシステムをとっています。

個人的には『動機づけ面接法を広める会』をつくり、支援者が課題を背負わず楽になれる支援スキルの習得を社内で広めています。

また、支援以外の部分はSMBCビジネスセミナーと契約し、年間2,000講座以上の中からビジネススキルを学べる環境も整えました。

外部の専門家がおこなう研修にも参加を推奨しており、みんなでシェアしながら成長していく環境をつくっています。

これらの研修システムにより、仮に未経験者でも、本人次第では、他社の何十倍ものスピードで知識が得られる環境になっている思います。

 

 

上田:その他、社内にも専門家を配置して心理学の知見を学べるように、臨床心理士・公認心理師による座学の研修やコンサルテーションを受けられるようにしました。

福祉は気持ちでやる仕事というイメージがありますが、根拠をもって支援をした方が効果は上がるに決まっています。根拠のうえに気持ちを乗せていく順番が理想です。

また、SHIPは資格取得のサポートにも積極的です。

スタッフの皆さんの国家資格(精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士・公認心理師)の取得をサポートするために、金銭面の補助や実習・試験前のお休みの融通を利かせています。

自ら学び成長したいという人がいれば、それを全力で応援していきたいと考えています。

 

 

 

【生活を大切にする『ライフ・ワーク・バランス』を推奨】

――次に2つめの、SHIPに入ってよかったと思ってもらうためには、どのような取り組みをしていますか?

 

上田:まず、SHIPはお休みが多いと思います。2020年度の年間休日は130日とれています。

また、職場ではタスク管理や5S活動を推奨しているため、業務の効率化がすすみ、残業のかなり少ない会社になりました。

ワーク・ライフ・バランスとはよく言われますが、わたしは逆から読みあげて『ライフ・ワーク・バランス』を目指していきたいです。

なぜなら、生活面の充実や健康を『先』に取り組むことで、仕事のパフォーマンスも高まってくることを実感したためです。

これは、私自身が長年家族を犠牲にしながら働いていたことからも伝えたいことです。

仕事を優先し、残業・休みなし、家族仲がうまくいかなかったときは心身ともに不調であり、仕事の面でも余裕がなくピリピリしており、パワハラのような状態になってしまった反省からも来ています。

今では、タスク管理やスケジュール管理が機能してきたため、ゆとりが生まれ、本当に大切にしたいことが見えてくるようになってきました。

ちなみに、本当に大切にしたいことは『家族』です。家族が幸せでいることがなにより大切です。

自分の時間の使い方はそれぞれですが、生活を充実させて、しっかり英気を養った状態でSHIPで働くことができれば、この会社に入社した意義が高まってくると思います。

 

 

上田:お給料の面では、うちの臼井理事長が「業界トップを目指す」と明言してくれています。

SHIPには、それを目指せる根拠もあると思います。

社会福祉法人には、その公益性の高さから求められる責務があります。

たとえば余剰資金があるならば、社会福祉事業や社会貢献活動へ投下していく責務があります。

つまり、福祉の事業所をたくさん開設していくことになるので、平行してポスト(役職)もどんどん増えていきます。

開設をすると売り上げも増えますし、利益も増えます。そして、ポストに就いた人の待遇もかなり上がっていくという流れです。

サービス管理責任者として年収600万円を超える人も増えてきていますので、収入面にモチベーションを感じている人にも、この会社に入ってよかったと思ってもらえたら嬉しいです。

 

 

上田:あとは、職場の雰囲気づくりもかなり重要だと思っています。いや、むしろこれが一番重要かもしれません。

いくらお給料が高くても、いくらお休みが多くても、人間関係が最悪の職場で働くのには限界があると思います。

わたしの所には色々な相談があるのですが、「スタッフの〇〇さんと、〇〇さんの関係が…」のような話を聞くと、一番つらい気持ちになります。

ただ、この仕事をしているからこそ分かったことですが、人それぞれ『とらえ方・考え方』が本当に違います。

だからこそ、スタッフのみんなが違いを受け容れ、また、コミュニケーションの自己責任を考え、双方に、相手に伝わるように伝え、お互いに理解し合あうことがなにより大切になります。

このように、組織全体のコミュニケーションのスキルアップがかなり重要な課題だと認識しています。

そして、これもまたスタッフがスキルアップすることで、支援に活かせる循環になると思っています。

内部・外部研修などでコミュニケーションのスキルアップをサポートし、乗り越えられた先のパートナーシップを実感してもらい、この会社に入ってよかったなぁ と思ってもらいたいです。

 

 

 

【医療と福祉の溝を埋めるクリニックを開業したい】

――将来、SHIPはどのような組織になっていると思いますか?

 

上田:わたしはもう20年戦士ですし、おっさんになってきましたので、次世代の人たちにSHIPの既存の組織づくりを託していきたいと考えています。

そして、わたし自身は『精神科のクリニック』を開業したいと考えています。

障害福祉の仕事に携わってきた中で、どうしても医療と福祉のあいだに溝を感じています。

それを埋める役割として、ソーシャルワーカーや訪問看護といったサービスもありますが、それでも溝が埋まる気がしません。

社会福祉法人は病院を開設することもできる法人格なので「だったらSHIPでやるしかね~だろ!」 と考えています。

開業の時期としては、わたしが50歳になるまでにはやりたいので、あと5年ぐらいが勝負だと思っています。

 

 

 

【SHIPの社会貢献活動タスクペディア】

――最後に、なにかメッセージはありますか?

 

上田:SHIPでは、社会貢献活動も積極的におこなっています。

とくに、『どんなに悩んでも仕事がうまくいかない人』『要領がよくないと思い込んでいる人』に向けた支援に力を入れています。

いわゆる発達障害や精神障害のグレーゾーンにいる人たちへ、なにかサービスを提供できないかと考えていました。

そこで、タスクペディアというサービスを通して社会貢献活動をおこなうことになりました。

タスクペディアは『タスク管理の習得を支援』するクラウド版の“タスク管理ツール”です。

2021年1月現在、登録者10,000人を超える巨大サービスとなりました。

生活や仕事がうまくいかないとお悩みの方や、お知り合いの方へ情報として拡散していただき、この活動をご支援いただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。