正しい構造化について考える

こんにちわ、SHIPヒューマンリソース推進室の若林です。
 
先月間違いやすい構造化導入についてお話ししましたが、現場職員からブログを読んで「正しい構造化は何ですか?』なんて質問がありましたので、今回は私なりに正しい構造化について考えてみたいと思います。
 
みなさんがイメージする構造化ってそもそも何ですか?
 
TEACCHではこの4つが定義されています。
物理的構造化→物理的整理統合
スケジュール
ワークシステム→ワーク・アクティビティシステム
視覚的構造化→教材の構造と視覚的キュー
現在は→の右のように言い方が変わっています。
 
「さあやってみよう。」
なんて積極的に飛びついちゃいますが・・・・
これはあくまで手法です。
 
飛びつく前になんで構造化が必要なのか?考えてみましょう。

 私は構造化を利用者の理解を促すための方法だと思っています。
自閉症の人は脳の構造や機能が健常者とは異なるため、健常者とは異なる学習の環境が必要です。
もちろん個人差があるので健常者の環境でも学べないことはありませんが、わざわざ苦手な環境で苦痛を感じさせる必要はないと思います。
 
では理解してもらうためには何が必要か?
 
個別化が必要です。
 
自閉症だからみんな一緒ではありません。
一人ひとりに適したものでなければ理解しやすい訳ないですよね。
あの利用者は自閉症だから・・・
あの人は統合失調症だから・・・
障害を画一的にとらえるのはもってのほかです。
私たち支援者は医者ではありません。障害名や病名だけでレッテルを張るのは画一的な支援の始まりです。
特に自閉症スペクトラムと言われるように症状は十人十色なのです。
性格も一人ひとり違いますしね。

では、どうやって個別化を実現するか?
 
それにはアセスメントが不可欠です。
 
専門的な支援からの行動観察が重要だと思います。
相手をまず知らなければ支援なんかできないはずですよね。
でもとりあえず画一的な支援をしていませんか?
 
なぜでしょう?
 
意識はないかもしれませんが、上下関係があるからだと思います。
自分達が上だと思っているからです。
お世話をしている。教えてあげている。守ってあげている。
だからまずは職員の指示を聞いて安定して過ごしましょう。
怖いですね。
 
みなさん、本当に利用者と同じ平等な人として接していますか?
利用者は解らないことが前提になっていませんか?
 
行動観察から利用者を知るのは確かに正しいと思います。
しかし気を付けなければならないのは、その判断を個人の経験や主観に頼るのは間違いだと。
人は知識がないと自分の経験に頼ります。経験とは自分の価値観が影響します。相手を理解するということは、自分を基準に考えることではありません。
 
自閉症は脳の構造や機能に違いがある医学的な神経発達症です。
 
健常者とは異なった学習スタイル・価値観を持って言います。
 
対等な人間なら、支援者の価値観を押し付けるのではなく、まず相手を理解する必要があります。理解するには専門的な知識が必要です。
 
専門的な知識を持ったうえでアセスメントをおこなうことで個人の障害特性、学習スタイルを把握することができます。
そうすれば理解を促すことができるかもしれません。
 
それが正しい構造化の基礎となるものだと思います。
 
日本の福祉サービスに心理士の配置基準がありません。専門的なフォーマルアセスメントの義務もありません。
しかし、利用者に質の高い支援を提供するには質の高いアセスメントが必要不可欠だと考えています。

質の高いアセスメントとは何か?
 
質の高いアセスメントとは、表面の行動だけでなく、脳の中核的な症状に目を向けたものと考えています。
 
表面の行動だけを見ると構造化は利用者の行動を抑えることに向かいます。
職員のための構造化になります。
それは間違った構造化の始まりです。
 
正しい構造化とは自閉症の中核的な症状にアプローチし、理解を促し、般化を促し、利用者自身の社会生活の幅を広げていくものだと思います。
 
SHIPでは来年度に向けて心理士によるフォーマルアセスメント・インフォーマルアセスメントを根拠とした専門的な支援提供体制を構築していきたいと考えています。