【パート職員インタビュー】「長所も短所も認め合い、助け合える職場を目指して」

生活介護「笑(えみ)」の生活支援員(非常勤パート職)として長年活躍されているスタッフさんにお話しをうかがいました。

専業主婦から障害福祉のお仕事へチャレンジされたキッカケ、そして現在の心境や支援観についてインタビューさせていただきました。

家事や育児をしながら障害福祉で働きたい方に参考になる記事になっていますので、ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。

(スタッフさんのお名前は非公開です)

 

 

「命をあずかる責任」の重さとやりがい

--簡単な経歴を教えてください。

 

非常勤のパート職として生活介護「笑(えみ)」で働きはじめ、気づけばもう10年近くになります。事業所では、重度知的障害や自閉症のある方々の日中活動のお世話をさせていただいております。

子どもの頃からダウン症の友達や支援学級の先生と触れ合う機会が多く、その先生からは「障害は個性だよ!こんなこともできるんだよ!」と教えてもらいました。そんな経験から、障害者の方をサポートするのは『素敵な仕事だなぁ』と感じていました。

 

時を経て結婚して、子育てが落ち着いた頃、ご近所の障害のお子さんを持つママ友から「あなたは福祉の仕事に向いている!」と勧められたことがキッカケで、あらためてこの仕事に興味を持つようになりました。

最初のころは「命をあずかる責任の重さ」に怖さもありましたが、もともとお世話することが好きだったことや小さな頃から障害のある人たちから好意を寄せてもらえることが多かったので、SHIPの求人を見ながら「未経験でも思い切ってやってみよう!」と、この業界に飛び込んでみました。

 

 

 

--どのようなシフトで働いていますか? また、非常勤のパートスタッフとしての業務内容も教えてください。

 

平日の9:00~17:00までの時間帯で働いています。

 

「笑(えみ)」では、チーム支援の体制をとって利用者様の日中活動をサポートしています。具体的には、6名の利用者様に対して、常勤1名+非常勤2名の合計3名でチームを組んでおり、常勤スタッフのアシスタントのような役割を担っています。

活動内容は、「屋内活動」と「屋外活動」に分けられます。屋内活動では、自立課題という個々のスキルに合わせた課題に取り組んでいただきます。屋外活動では、ウォーキングやドライブに出かけます。

 

障害の重い方々の安全を守るために、いつも事故のないように細心の注意をはらって支援しています。ですから、家に帰るとへとへとになってしまいます。

でも、利用者様の一日の生活を事故なくサポートできた充実感や、子どもたちから「お母さんはすごい仕事をしている。誇りに思う!」と言ってもらえるような幸福感もあり、この仕事に携わってきて良かったなぁと実感しています。

 

 

 

「家事好き」の強みが活きる職場

--ところで、屋内作業の自立課題は『自作』されているそうですが、どのように作っているのですか?

 

まずは利用者様ごとに個別のアセスメントをおこないます。アセスメントとは簡単に言うと、できそうなことや苦手な部分をみつけて、支援の手がかりをつかむことです。

アセスメントの結果、たとえば数字の認識ができそうなら、数字に関連した自立課題をつくって取り組んでいただきます。一定の期間取り組んでもらった後、再アセスメントをおこなって、実際にできそうなことが「できる」に変わっているのかを振り返ります。

私はもともと手芸などの創作的な作業が好きなので、自立課題をつくることも大好きな仕事のひとつです。また、この特技を活かして、作業スペースのリフォームや片付けなんかを頼まれることも多く、いつもワクワクしながら働いています。

 

 

 

--片付けなどは、どちらかというと嫌煙される仕事のような気がしますが・・・

 

本当に片付けが好きなんです。というより家事全般が大好きで、汚れているところや散らかっているところを発見するたびに、「これは、どうやって片付けようかなぁ~」とワクワクしてしまいます。

私は昔から主婦のプロになりたかったので、家事に専念できる結婚生活はパラダイスでした。そして今、その経験を活かせる職場で働けていることもとても嬉しく思っています。

一緒に働くスタッフ同士、長所を活かして、短所を補い合って、お互いを認め合いながらよい事業所にしていけたらといつも考えています。

 

 

 

「言葉のない対話」:知的障害者の気持ちを汲み取る大切さ

--利用者様とのコミュニケーションで『意識していること』はありますか?

 

いつも穏やかでいることを意識しています。本当に、いつも一緒、いつも同じ状態でいようと努めています。

利用者様は自閉症などの特性から先の見通しが立たず、不穏になることもしばしばです。そんな時にスタッフの側が感情的になってはいけません。不穏なときこそ安心できる存在でいることを心がけています。

そして、落ち着いていただいた後は、何が不穏や混乱の原因になったのか、その背景を知ろうと努めています。言葉のない知的障害者の方々の気持ちを汲み取ることも、この仕事のコミュニケーションに欠かせないポイントだと思います。

 

 

 

--今と昔では、支援の考え方にも違いがあるのではないでしょうか?

 

私は、オープニングスタッフとして入社しました。はじめの頃の利用者様は、今よりも言葉によるコミュニケーションを図れる方が多かったです。

そのせいもあってか、好きな趣味のお話しや困っている気持ちなど、よくお話しを聴かせてもらうことを意識していました。また、作業面では、できている部分・できそうな部分を承認の言葉で伝えたり、手取り足取り教えさせてもらっていました。

そういった日々の積み重ねが、利用者様の気持ちを和らげているような感覚をもっていました。実際に、感情がエスカレートしやすい利用者様もいらっしゃったのですが、そのような事前の対応で自傷や他害行為を止めることができていたと思います。

 

ただ今では、当時よりもっと重度の知的障害をもつ利用者様を支援しているので、言葉によるコミュニケーションはほとんど使っていません。ですから、利用者様が目で見て理解しやすい環境づくりである『構造化支援』の質もかなり上がってきたと感じています。

最初の頃は、同じ自立課題でも、ただ時間をつぶすような支援だったかもしれません。

今では、何のために課題に取り組んでいただくのか、それがどんな自立につながっていくのか、そういった目的の部分がスタッフ全員に共有されているので、みんなで使命感をもって支援に携われていると思います。

 

 

 

成長を支えるために必要な「チームの一体感」

--これから、生活介護「笑(えみ)」をもっとよい事業所にしていくためには、どうなっていくのが良いとイメージしていますか?

 

二つあります。

 

一つめは、先ほども少し話しましたが、一緒に働くスタッフ同士が、長所も短所も認め合い、助け合いながら働いていくことです。

そして、助け合えている部分をちゃんと見て、助かっていることに感謝を伝え合えるような関係を築いていきたいと思っています。

 

二つめは、常勤の正社員も、非常勤のパートスタッフも、みんなが一体となって利用者様の支援をしていきたいです。

今ができていないという訳ではないのですが、もっと利用者様の可能性や成長できる部分があると思っています。

そのためにも、ただ過ごすだけの事業所にならないように、少しでも持っている力を引き出せるようにと、もっとみんなで力を出し合えたら嬉しく思います。

 

 

 

長く続けるためのデトックス方法

--とても高い意識をもって支援されていると思いますが、リフレッシュや切り替えの方法なども教えてもらえますか?

 

私の場合は、青空をみると気持ちが晴れます。下をみると落ち込むけれど、上をみると元気が出てくるので、リフレッシュの取り組みとしてよくおこなっています。

家では、大好きな家事をしたり、趣味の音楽を聴いたり、子どもたちと楽しく過ごすことが気持ちの切り替えに役立っていると思います。

たとえば、掃除をしながらクラシックを聴く、料理をしながらジャズを聴く、子どもたちに楽器を演奏してもらう、そんな家でのひと時にとても癒されています。

やはり、この仕事を長く続けるためには、自分なりの心のデトックス方法をもつことは大事だと思います。

 

 

 

--最後に、障害福祉のお仕事に興味をもっている方々に向けて、なにかメッセージをいただけますか?

 

この仕事は大変な部分もありますが、高い志をもちながら充実した時間を過ごせる最高の仕事だと感じています。

そして、本気で取り組めば、必ず重たい障害をもつ方々の可能性を引き出すことができますし、自分の成長を感じることもできる仕事です。

ぜひ、障害福祉の門を叩いていただきたいと思います!

 

 


 

非常勤のパート職として、そしてベテランスタッフとして、どのような働き方をされているかとても参考になりました。

また、この仕事と真剣に向き合う姿勢に心を打たれました。

SHIPの理念にもある「みんなで力を出し合って、みんなで幸せになる社会創り」の実現に向けて、未経験からでもたくさんの人たちにこの業界に飛び込んできてもらいたいですね!

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