アンケートが教えてくれたSHIPの現在地
~ 「働きやすさ・満足度・eNPS」から見えたこと ~

なぜ、毎年職員アンケートを続けているのか

SHIPでは、毎年1回、正職員を対象にジョブローテーション希望調査をおこなっています。

毎年、ご協力いただく職員の皆さんには本当に感謝です。

この調査では、異動や今後の役割に関する希望に加え、「働きやすさ」「満足度」「eNPS(おすすめ度)」も確認しています。

こうした調査を続けているのは、組織の状態を感覚だけで判断しないためです。

現場で働く一人ひとりが、どこに安心を感じ、どこに負担を感じ、どこにやりがいを感じているのか。そこを、きちんと受け止めたいと思っています。

2025年度の結果は、
・働きやすさ 7.59
・満足度 7.29
・eNPS  -24.17

2024年度は、
・働きやすさ 7.12
・満足度 7.01
・eNPS  -35.64

ちなみに、2023年度は、
・働きやすさ 7.09
・満足度 7.14
・eNPS  -46.27

でしたので、年々 改善傾向となっております。

数字が上がれば素直にうれしいですし、現場で積み重ねてきたことが少しずつ形になっていると感じられます。とくに、eNPS(おすすめ度)の得点が改善してきたことは、大きな励みになっております。

設問項目に対して10点満点の主観的評価での回答を基本とします。働きやすさと満足度は、この10点満点の数値がそのまま反映されています。

※eNPS(おすすめ度)の計算方法は、0~6点の人を批判者、7~8点の人を中立者、9~10点の人を推奨者に分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出します。

「働きやすさ」と「満足度」は、どう違うのか

今回のアンケートで大切にしているのは、「働きやすさ」と「満足度」を分けて見ていることです。

ここで参考になるのが、ハーズバーグの二要因理論です。

この理論では、職場への感じ方には二つの側面があるとしています。

一つは、勤務体制や人間関係、業務ルールなど、整っていないと不満につながりやすい衛生要因。

もう一つは、達成感、成長実感、仕事の意味など、満たされることで意欲につながる動機づけ要因です。

この考え方をSHIPの調査に重ねると、働きやすさは衛生要因満足度は動機づけ要因として見ることができます。

働きやすさ7.59からは、
勤務体制の見直し、休みの取りやすさ、人間関係への早めの対応、業務フローの整理といった土台づくりが功を奏してきたことがうかがえます。

一方、満足度7.29からは、
研修の受講、人事考課での振り返り、ケース会議や個別支援計画会議を通じて、自分の仕事の意味や成長を感じられる場面が少しずつ育ってきたことが見えてきます。

部門別に見ると、見えてくる課題も違う

2025年度の結果を部門別に見ると、以下のような結果が出ました。

中軽度部門
・働きやすさ 7.62
・満足度 7.43
・eNPS -19.15

重度部門
・働きやすさ 7.58
・満足度 7.21
・eNPS -27.40

※重度部門とは「重度知的障害者向けサービス事業部門」のこと。中軽度部門とは「中度軽度障害者向けサービス事業部門」のこと。

 

中軽度部門は全体として安定して良い状態に見えます。

成熟期に入っていると感じるものの、他事業者の新規参入も多く、行政から色々な規制がかかってきました。

そのため、今あるやりがいや納得感を、この先のキャリアにどうつなげるかが課題になると受け止めました。

 

重度部門は課題を抱えながらも、大きく持ち直してきました。

2024年度のeNPS(おすすめ度)は -49.06 でしたが、2025年度は -27.40 まで改善しています。※eNPSの解釈は、以下の図をご参照ください。

体制整備や育成、支援の標準化などの地道な取り組みが、少しずつ成果につながってきたのだと感じています。

 

参考までに、公開されている国内ベンチマークでは、eNPS(おすすめ度)の業界別平均データから、医療・福祉は-57.4とされています。

※参考:業界(業種)別 eNPSの平均値—ジャンプスタートパートナーズ2021年2月

eNPS(おすすめ度)から見えてくる組織の状態

eNPSは、「この職場を親しい人に勧めたいと思えるか」を見る指標です。

満足度よりも厳しく、組織への信頼感や誇りが表れやすい数字でもあります。

SHIPの2025年度eNPSは -24.17でした。

つまり、「平均的」という結果です。

 

前年度の-35.64から改善していることは前向きに受け止めたい一方で、まだマイナスであることには課題も感じます。

では、なぜeNPSは改善してきたのかを振り返ってみました。

背景には、三つの取り組みがあるように思います。

 

一つ目は、勤務体制の改善です。

常勤スタッフを増やしてきたことで、以前より休暇が取りやすくなり、急な欠勤にも対応しやすくなりました。誰かが休むと別の誰かにしわ寄せがいく、という負担感が少しずつ軽くなってきたことは、「ここなら無理を前提にしなくていい」という安心感につながっているはずです。

二つ目は、人間関係やチーム運営への早めの対応です。

不調の兆しがある職員とは早めに面談を行い、関係性の修復に努めたり、必要に応じて外部カウンセリングにもつなげる。そうした姿勢が、少しずつ安心感を育ててきたのではないかと思います。

三つ目は、自分の成長を振り返れる機会があることです。

半期ごとの人事考課や中間評価、ケース会議や個別支援計画会議を通して、自分が取り組んできたことや、支援の変化を振り返ることができます。こうした場面が、「ちゃんと前に進めていたんだ」という実感につながっているのかもしれません。

前向きな結果のなかで見えてきた、二つの課題

今回の結果には前向きになれる点が多くありました。その一方で、二つの課題も見えてきました。

一つ目は、管理職を希望する職員がそこまで多くないことです。

これは、誰かの意欲が足りないという話ではないはずです。管理職には責任の重さや精神的な負担がつきまといます。そう考えると、管理職登用だけを成長のモデルとして考えることには限界があります。

もう一つは、異動希望そのものが少ないことです。

今の持ち場に納得感を持って働けていること自体は前向きです。けれど、異動による経験の広がりや新しい役割への挑戦は起きにくくなります。落ち着いて働けていることを大事にしながら、どう成長の機会をつくるかが問われています。

 

これからのSHIPに必要な、新しいキャリア設計

だからこそ、これからのSHIPに必要なのは、管理職になることや異動することだけを前提としない、新たなキャリア設計なのだと思います。

ここから先に考えたいのは、その「支援の質を高める取り組み」そのものが、職員にとってのキャリアアップにつながっていく道です。

支援の専門性を高めること。利用者様への関わりの質を高めること。ケース検討や個別支援計画の精度を高めること。新人育成やチームづくりに関わること。

そうしたことが、自分の成長として積み上がっていく感覚につながれば、管理職になるかどうかだけではない、新しいキャリアの見え方が出てくるはずです。

アンケート結果から見えてきた、これからの組織づくり

今回のアンケート結果からは、SHIPがこの数年、働きやすさという土台を整えながら、支援の質を高めることで満足度も育ててきたことが見えてきました。

一方で、管理職希望者が多くはないこと、異動希望そのものが少ないことから、これまでの延長線だけでは十分ではないことも分かってきました。

数字を見ると、うれしいこともあれば、少し考え込むこともあります。

けれど、本音が見えるからこそ、次に進む方向も見えてきます。

これから私たちが目指したいのは、支援の質を高めることそのものが、職員一人ひとりの成長やキャリアアップにつながっていく組織です。

利用者様にとってより良い支援と、職員が自分の未来を描けること。その二つを切り離さずに考えていきたいと思います。