【育成担当インタビュー】キャラの立った支援者を育成したい!

原田貢さん

原田さんは、重度知的障害・自閉症のある人たちへの支援部門の育成担当をしています。

社会福祉士・介護福祉士・公認心理師の資格を持ち、SHIPではグループホーム放課後等デイサービス生活介護でキャリアを積んでいます。

SHIPのイラストレーターとしての一面もあり、法人の広報活動にも大きく貢献しているスタッフさんです。

 

転職の動機は「入所施設での違和感」

--原田さんは入所施設からの転職者ですが『転職の動機』を教えてもらえますか?

 

原田

前職の入所施設には重度の知的障害や自閉症の方々がいらっしゃいました。利用者様が高齢化しているような状況の施設の『作業棟』のスタッフとして働いていました。

その入所施設に入社した頃(18年くらい前)は、作業は『利用者様の全員参加』が基本でした。活動に参加しないという選択肢はなかったのです。言い方はよくないのですが、当時は、拒否されても何とかごまかしながら、音楽、ドライブ、散歩など、何かしらの活動への参加を促していました。

 

ちょうど転職を考えていた時期は『障害者自立支援法』の理念が浸透してきていて、『本人主体』『自己決定』を大事にしようという機運が高まっていました。だから「作業に行きたくない」という利用者様には、部屋に残ってもOKといった具合に融通を利かせるにようになっていきました。

でも、『本人主体・自己決定』の方針だからといって、それをイコールで「参加したくないならしなくていい」と結論づけていることに対して「それってどうなんだろう?」と、すごく違和感を感じていました。

 

 

 

--「なぜ参加したくないのか?」が考えられていない、ということですね。

 

原田

そうなんです。当時は、SHIPで提供しているTEACCHプログラムの『構造化支援』の視覚提示といったアプローチ方法を知りませんでした。だから、作業へ行きたがらない人は、何とかごまかしながら連れて行くしかありませんでした。

障害特性に基づかない『本人主体・自己決定』が、利用者様の生活不活発病を誘発しているような状態でした。また、全般的に利用者様の年齢が上がってくると、高齢の人に支援レベルを合わせていくことになります。ですから、ADLの低下に伴う介護がメインの支援テーマになっていました。

 

 

 

--障害者施設が、実質、高齢者の介護施設に変わっていったということですね

 

原田

そうなんです。たとえば『散歩』の活動があります。

高齢者が増えてくると彼らのADLに合わせざるを得なくなります。そのため、若くて歩ける人たちへ回せる人手が足りなくなり、彼らの活動量が減り、終いには散歩に行かなくなる、といったような悪循環が起こっていました。

 

それと、入所施設ではよく分からない『自己決定』が尊重されて、支援者はあまり介入しなくなって、それが「利用者主体だ!」みたいな理屈が広がりはじめて、もう違和感が止まらなくなってきて、それで本気で転職を考えだしました。

その頃、昔、一緒に働いていた知り合いに連絡をとってみたら、SHIPのラファミド八王子(グループホーム)で働いているとのことで、その話を聞いているうちに精神障害者の支援に興味を持って、採用面接を受けてみようと決めました。

 

 

 

「キャリアUP」に向けての新たなチャレンジ

-転職の際、奥さんやお子さんのことで躊躇しませんでしたか?

 

原田

結婚して、子どもが二人いて、転職の決断には悩みましたね。

SHIPでの採用面接の際、キャリアUPに向けた『サラリースケール』を見せてもらいました。ボーナスだけで考えれば入所施設に比べて低かったです。ただ、入所施設の場合『夜勤手当』を含む総額で支給されていたので、それを抜いた年収ベースで考えると同じくらいでした。

さらに、「SHIPでは新規事業をたくさん展開していく方針だから、原田さんの頑張り次第では昇格・昇進のスピードも速くなる」というお話もありました。その部分に活路を見出そうという気持ちと、あとは賭けみたいなものでしたね。

 

あと当時は『介護福祉士』の資格しか持っていませんでしたが、実は社会福祉士の資格にも興味があって、SHIPには『資格取得補助制度』があったのも魅力のひとつでした。

 

 

 

SHIPに転職して感じた「新鮮な感覚」

--転職してみて実際にはどうでしたか?

 

原田

重度の知的障害者から精神障害者への支援に対象がガラリと変わったので新鮮でしたね。

『本人主体』『自己決定』が成立するという新しい感覚をもちました。

 

ラファミド八王子の支援の方針は、

・支援者が決めるのではなく、本人が決められるように支援しよう。

・支援者が課題を肩代わりするのはやめよう。本人が課題と向き合ってもらうように支援しよう。

・本人に社会で生きていることを実感してもらおう。そのためにも日々の意識づけをしていこう。

というもので、『自立』に向けて支援していくという考え方がとても新鮮でした。

 

『自己決定』についても改めて考えさせられました。

前の入所施設では自己決定した後の『不利益』について本人に知らせていませんでした。「本人が行かないと言ったから行かなくていい」というのは、本人のためではなく、支援者にとって都合がいいからそうしていたんです。

当然ですが、利用者様の活動が減るといった結果の責任は支援者が負うことになり、問題の尻拭いも支援者がすることになります。なんとなく不毛な感覚の正体はこれだったと思います。

 

SHIPに転職したことで『自己決定』の本来のかたちを知ることができたと感じています。

 

 

 

 

話し合いの結果、感じられる「成長と改善」がやりがいに

現在は、どのような役割を担っていますか? また、その役割の「大変なところ」と「やりがい」を教えてください。

 

現在は、生活介護事業所のサービス管理責任者と、本部事務局の重度系の日中活動事業の統括責任者という役割で勤務しています。

大変なところは、自分が直接サービス管理責任者をしていない事業所の課題に取り組むことです。客観的な立場から俯瞰して課題を捉えることができます。そのため解決策は思いつきやすいのですが、一方でそれを実際に行動に移してもらうには、各事業所の理解と合意を得ないといけません。

 

「やって下さい」と言うのは簡単なのですが、それぞれの事業所には個別の事情がありますので、状況の聴き取りには時間を割く必要があります。どういうことが障壁になるのか、実際に計画し実行した後どのように確認していくかも含め、事業所の責任者と話し合いの場をもちます。そのことに時間と労力を費やしながら調整していくプロセスは大変ですね。

 

やりがいは、それら話し合った事柄について、実際の現場で活かされていたり、状況が改善していったりしている兆しがあると、良かったなと思いますし、本当に励みになります。

 

 

 

-スタッフの育成にあたっては、どのようなことを大切にしていますか?

 

原田

まず、どんなスタッフの人でも、SHIPに入職したからには育成していこうという気持ちを大切にしています。スタッフ個別に、どうやれば伝わるか、どんな表現なら理解してもらえるのか、コミュニケーションを重ねながら模索しています。

また、育成にも段階はあると思っています。一般職としての役割を担うまでのステップ、その後スキルアップを目指して主任・サービス管理責任者の役割を担えるリーダーを育成するステップです。

 

SHIPでは新規事業の開設を見据えているのでリーダーの育成がとても重要だと理解していますが、個人的にはリーダーとして役職につけるかどうかより、「キャラの立った支援者」になってくれるといいなと思っています。

「キャラが立った状態」と言っておきながら自分でも曖昧な部分はありますが、「自立課題作成の○○さん」とか、「心理検査の○○さん」などと、その職員ならではの得意な部分をいかした『キャッチコピー』が持てるような、そんな支援者のキャラクターが押し出されてくるイメージです。

 

 

 

-SHIPで活躍している人は、どのような人が多いと思いますか?

 

原田

統括責任者という役割を担うことになり特に感じることですが、どの事業所も一人ひとりスタッフの活躍があって成り立っているということを改めて感じています。

それは、各々が自身の職責や役割を理解して、責任感をもって働いているからこそだと思います。そういう意味で、いまSHIPで働いている全員が活躍している人なのだと思います。

 

その中でも、特に活躍されている人とするなら、目の前の業務に一つひとつ丁寧に向き合うことができている人は凄いなぁと感じさせられます。そういった人は、小さな変化も見逃さず前向きな提案をしてくれるので、まわりに良い刺激を与えています。

 

対人援助職は相手がある仕事なのですぐに結果は出ませんし、どうしても利用者様の目立つ行動(問題行動などのネガティブな側面)に目がいきがちです。だからこそですが、結果が出なくてもあせらずじっくりと向き合って、小さくてもポジティブな変化を感じ取ることのできる、そういった人が活躍していると感じています。

 

 

 

-福祉業界で働くことを考えている人にSHIPを紹介するとしたら、どんなところがおススメ・ポイントになりますか?

 

原田

私は自閉症や知的障害の方々への支援が職歴のほとんどで他の福祉業界を知らないのですが、その中でもおススメのポイントをあげるとすれば、「あえて困難な事例に携われる」というところだと思います。

SHIPのご利用者様は、他の施設や事業所、学校や病院でも受け入れが難しいと言われたケースが少なくないのです。ですので、一言で言ってしまえば業務は大変です。ただ、その支援を通じて、少しずつ良い変化(相互のコミュニケーションができるようになる等)が確実にみえてきます。その瞬間に立ち会えることはとてもドラマチックですね。

 

 

-将来の『SHIPの目標』と『個人の目標』を教えてください。

 

原田

事業を拡大していく上で、私が理解している社会福祉法人SHIPが大事にしてきたことの一つに『支援の質』があります。

「困難な事例に携われる」と先ほど言いましたが、やみくもに困難事例を受け入れている訳ではありません。そこには実践や研修などを通じて培われた『支援の質』が担保にあります。

 

ですので、個人の目標としては、新規開設が増えても継続して支援の質が維持できるよう、現場でのOJT体制や研修等の枠組みを設定し、質の管理を継続していくことがあげられます。

あわせて、研修等を受けて自己研鑽に励みつづける必要性を伝え続けていくことも目標であると考えています!

 

 

 


 

福祉のキャリアが大ベテランになる原田さんの熱い気持ちを伺うことができました。

これからもマルチな才能を活かしながら、クリエイティブな部分への貢献と、SHIPの大切にしている伝統の継承と、あわせて邁進してもらいたいと思います!