【SHIP職員インタビュー】「つらかった自分を救ってあげたい」EXP立川 小野塚唯子さん

就労移行支援事業所EXP立川で職員をされている小野塚唯子さん

大学院で心理系の学部を専攻し、その後もほぼ一貫して福祉業界に。

しかし、福祉業界にも色々な職場や仕事があり、試行錯誤してきたとのこと。

その過程と、これからについてお話いただきました。

 

 

福祉への興味のはじまり

――就労移行支援事業所「EXP立川」で職員として働いている小野塚さんですが、そもそもどうして福祉の世界に興味を持ったんですか?

 

小野塚

もともと最初に入学した大学では、まったく別のことを学んでいたんです。でも、その後 体調を崩していったんお休みして、その間に心理系の学問に興味を持ち、他の大学に再入学しました。

もっとさかのぼると、中学時代に臨床心理学に興味を持って、母が持っていた河合隼雄さんの本を読むようになりました。

 

――中学生のときからですか!?  なぜ、臨床心理学に興味を持ったのでしょうか?

 

小野塚

私は子どものころ、あまり人とコミュニケーションをとるのがうまくなかったんです。「行間を読む」とか「機微を捉える」とか、そういったことができなかったんですね。

友人と遊びに行って、いざ帰ろうとなったときに、乗るべきバスを友人が分からなかったんです。そこで、普通だったら一緒に探してあげるとかしますよね。でも私は「そうなんだ。じゃあ私はこのバスだから帰るね。バイバ~イ!」とやってしまったり。

「行間を読む」とか「機微を捉える」ってどういうこと? というようなところから、心理的な援助や予防を考える臨床心理学に興味を持ったんです。

その結果、大学、そして大学院と、心理系の学問を専攻して『臨床心理士』の資格を取得しました。

 

――ご自身の体験から、福祉の世界に興味を持ったんですね。

 

小野塚

そうですね。今ではコミュニケーションの苦手さを経験からカバーできていますが、当時は状況が理解できなかったり、対人関係がうまくいかないことが多くてつらかったです。だから今、福祉業界で心理士として働いている理由は、「つらかった当時の自分を救ってあげたい」なのだと思っています。

 

 

福祉の大海に漕ぎだして

――その後はどのようにキャリアを積んだのでしょうか。

 

小野塚

最初は、子ども家庭支援センターで働き始めました。18歳未満のお子様に関する総合的な相談機関のことですが、保育園や小中学校、個人からの育児相談や虐待の通報も受けたりしていました。

相談を受ける仕事のイメージが強かったのですが、実際にはとにかく会議が多かったです。会議録を作る仕事が一番多かった気がします。

 

――ある種、事務仕事と変わらない部分も多かったのですね。

 

小野塚

はい。 仕事の基本動作というか、社会人のマナーはそこでたたき込んでもらった気がします。

その後、別の子ども家庭支援センター、スクールカウンセラー、大学の学生相談室での相談員、保健所の成人デイケアでの相談員や同行支援員をしていました。

一人目を出産した後は、公共機関の電話相談室で働きました。そこでは相談員というよりは企画されるイベントの調整が主な業務でした。これが思ったよりも大変な仕事で、慌ただしく働いているうちに二人目を出産。そのタイミングでいったん仕事をやめました。

 

――かなり忙しかったようですね。

 

小野塚

はい。福祉業界はあれもこれもやらなきゃいけない・・・といったことが多くて、慢性的に過剰労働になりやすいんです。それにくわえて育児との両立の問題が重くのしかかっていました。

ですから、ある程度育児に専念して、それからまた就職活動を始めました。そのときは「もう福祉業界は無理かも…」  と思っていたので、一般企業の事務なども受けていました。

結果的にはSHIPに入社しましたが、実は別の貿易関連の会社からも内定をもらっていました。一般事務で。

 

 

新鮮だった就労移行事業

――そうだったんですね。どうして、SHIPを選んだのでしょうか。

 

小野塚

貿易会社から内定をもらったちょうどその日に、EXP立川からも内定をもらったんです。貿易会社の方は、職場も自宅のすぐ近くで条件も悪くなかったんですよね。でも、EXP立川のとても明るい雰囲気と、面接をしていただいた職員さんの人柄が印象的で、それが決め手になってEXP立川で働こうと思いました。

福祉業界での経験は長い方ですが、障害者の方の就労をサポートする、いわゆる就労移行支援事業所での経験はありませんでした。でも、ここで働きたいと思いました!

 

――働いてみて、どうでしたか。

 

小野塚

とても新鮮でした。

EXP立川の利用者様は、以前の対象者の方々と比べて「普通のコミュニケーションができる」「約束したらやってくれる」「身なりを整えて通所できる」など、基本的なことをちゃんとできる。それと、「働きたい」という意欲が高くてすごいなとびっくりしました。

だからこそ、自分が今まで提供してきた支援のやり方よりも、ハードルの設定を高くしなければいけないと思うようになりました。

 

――ハードルを高くする、とはどういうことでしょうか。

 

小野塚

仕事ができるようになるためには、プラスアルファで色んなことができるようにならなければならないですよね。

より社会性が求められたり、業務遂行能力が必要とされたり。利用者様は、「会社で働けるレベル」まで高められたハードルがあることを知ることになるんです。以前の支援対象者の方々は、どうしたら就職できるか、安定して働いていけるか、といったレベルとは違うところに課題を抱えていらっしゃったんです。

そんな高いハードル、言い換えれば「企業の求めるものを利用者様にお伝えする」という意識が自分には必要だと強く思いました。

ただ、以前の職場で経験した「生活するのがやっと」という状況に置かれている方々への支援のあり方は自分の土台になっているとも思っています。

 

小野塚さんの「これから」

――そんな小野塚さん、これからのキャリアをどうしていきたいですか。

 

小野塚

以前、私はYMCA(キリスト教青年会)でボランティアをしていました。キャンプや語学教育などの様々なイベントを通して、集団行動ができるようなトレーニングも行なわれていました。

YMCAにおけるリーダーと子どもたちとの関係は、EXP立川での支援者と利用者様との関係にも通じる部分があるのではないかと思っています。そこにあるのは、「上下関係」ではなく「ななめ上の関係」です。

 

――「ななめ上の関係」とは、どういったことでしょうか。

 

小野塚

やるべき行動に対して「こうしなさい」「ああしなさい」と指示を出してその通りに動かす、といったようなものではなく、あくまで子どもたちが主体で行動していくのを支援するという関係性です。

子どもたちが自ら考えた行動は否定せずに見守る。自主性を重んじて、仮に子どもたちが失敗したとしても、そのチャレンジを良しとする。安全に失敗できるような場づくりをしていく。それがリーダーのやるべきこと。上下ではなく、同列でもない。「ななめ上の関係」とはこういうことです。

 

――EXP立川でも、利用者様の主体性を重んじるようにしていますが、それと共通していますね。

 

小野塚

もしかしたら、他の就労移行支援事業所では、「これやってください」「あれやってください」と指示をして、それをクリアさせて、という形式でスキルを身に付けていくところもあるのかもしれません。ただ、それだと完全な上下関係になりがちで、信頼関係を構築するのに、時間がかかると思います。

それに対して、EXP立川は、利用者様の主体性を重んじる点で「私 教える人」「私 教わる人」という場よりも信頼関係を築きやすい場だと思います。

 

――将来にむけて、具体的なキャリアなどのイメージはありますか。

 

小野塚

私は元々「つらかった当時の自分を救ってあげたい」というところから、結果的に今の仕事につながっています。

EXP立川での仕事の経験、それと以前の地域の中での仕事の経験から、「その人の人生に寄り添う支援」、特に「自分から助けを求めることが難しい人への支援」にやりがいをより強く感じるようになりました。そのような方を支援できるような仕事にも、将来的にはまたたずさわっていきたいと考えています。

SHIPには、メンター制度というものがあります。月に1回、先輩職員さんと面談をしています。先日、キャリアプランを一緒に考えました。そこでは、「自分から助けを求めることが難しい人への支援」へのファーストステップとして、社会福祉士の資格を取ろうという話になりました。

また、SHIPで長く安定して働きたいということも考えているのですが、SHIPにはジョブローテーションがあり、より多様な仕事を経験し、スキルを身に付けることができます。これを通して、「自分はどんな仕事を体験して、どんなスキルを身に付けているか」を明確に言えるようになりたいと考えています。

 

 


 

小野塚さん、ありがとうございます。
福祉業界の中で様々な職種を経験され、
今もなおアップデートされていることが伝わってきました。
これからも、よりいっそう経験を重ねて、
キャリアを積んでいってください!