しなくていいのに入院生活…社会的入院って?

先日、健康診断で「腹筋がほとんどありませんね」と言われて凹んでいる事務局の上田です。
実際に腹部CTを見せられながら伝えられると説得力がありますね。
 

 <病院は基本的に3分診療>
ところで皆さん、お医者様って怖くないですか?
このイメージはどのようにつくり上げられてきたのでしょう…?
まず、ドクターはとても忙しそうですよね。
それは病院が、次々と来る患者さん(お客さん)の回転率を上げて経営効率を上げる商売をしているからです。
3分の間に必要なことを駆け足でダダッーと伝えて「分かりましたか?」→「はい」の主従関係をつくらざるを得ないのかもしれません。
だからお医者様が怖く感じるのかもしれません。

<精神科病院も3分診療?>
実は精神科病院でも同じです。通院外来では患者の回転率を上げていかざるを得ないようです。
私は患者さんに「事前に聞きたいことを紙に書いて渡す」ことを勧めています。精神疾患の患者さんは、情報処理が困難な方が多いので、事前にまとめておくことはポイントです。また、医師にとっても診察効率が上がるとともに、治療効果も検証しやすいので「紙に書いて報告してもらうと助かるわぁ」と言われることもしばしばです。
 
<もっと聴いてもらいたい場合は?>
病院で対応してくれるスタッフは「主治医」だけではありません。
看護師・ソーシャルワーカー・カウンセラーなど、病院にはたくさんのスタッフがいます。
そういったスタッフに相談することで主治医との懸け橋になってもらうこともポイントです。
私のような福祉職は、ソーシャルワーカーさんを通じて医師との連携を図ります。
最初はソーシャルワーカーさんのことを『病院の偉い人』だと思い込んでいましたが、関わってみると懇切丁寧に連携を図って下さるのでとても助かっています。

<社会的入院って…?>

精神科病院では『入院治療』を伴うケースがたくさんあります。
そして、治療が終了して いつでも退院できるのに、なぜか入院している患者さんもたくさんいらっしゃいます。
その数… なんと… 約7万人!
住まいさえ確保できれば、いつでも退院できるという人達が7万人もいらっしゃるのです。
このような状態は『社会的入院』と呼ばれており、深刻な社会問題となっていることをご存知でしょうか?

<住まいを確保できない理由は?>
精神科病院に入院される人の多くは、重大な精神的問題を抱え、やむなく入院治療を受けています。
例えば、統合失調症で陽性症状(幻聴や妄想)が強く出ているとき、人がいないのに声が聞こえたり、通常では考えにくい訂正不能な思い込みをもっておられるので、周りから見れば奇異に映ります。
とくに家族は、なんとか本人を説得しながら、入院につなげることしばしばです。
入院すると家族は正直「ホッ」とします。そして、この苦労を再び経験したくないと考えます。
統合失調症は寛解(元の状態に限りなく近づく)する病気なので、退院の時期も当然やってきます。でも家族にはネガティブな経験があるので、戻ってくることを拒むケースもあるのです。
病院側としてはベットの稼働率が安定するので、家族と病院の間にWIN・WINの関係が生まれてしまいます… このようにして社会的入院患者は増えていきました。※全てではありません…

 <対応方法は?>
近年、国では『病院・施設生活から地域生活へ』の方針を明確に打ち出しています!社会的入院患者の退院を促進する精神科病院も増えてきました!となると、退院先をどこにするか?という問題が浮かび上がってきます…
障害福祉サービスでは、地域生活に向けたコーディネートをする『地域移行』というサービスを設けています。このサービスは『一般相談支援事業所の相談支援専門員』がおこなっており、当事者である社会的入院患者と、出し側の精神科病院と、受け側の家族やグループホーム等との懸け橋なってくれるサービスです。
 

 <SHIPでは どうしてるの?>
SHIPでは、受け側の役割として、都内でグループホームを14ユニット運営しています。
たくさんの精神科病院から問合せを頂いており、地域生活につながった人がたくさんいらっしゃいます。※画像をクリックしてHPで詳細へ
 
 
次回のブログでは、障害のある人たちが暮らすグループホームってどんなところ?を紹介したいと思います。