動機づけ面接法 研修インタビュー 『ケース⑦:サービス管理責任者の大北さん』

金融業界からもともと興味のあった福祉の仕事へ転職し、SHIPのグループホーム・サクレ江戸川で働いている大北さんにインタビュー。

未経験から着実に知識と経験を積み重ね、現在はサクレ江戸川で『サービス管理責任者』を務めています。

もともと利用者さんとの直接のやり取りが大好きな大北さんですが、今では一歩引いた視点からサービスのプランを作ったり、スタッフの育成に励んでいます。

そんな大北さんは、スタッフとのコミュニケーションや人材育成に『動機づけ面接法』を活用しています。

 

 

――今の職種とやりがいを教えてください。

大北:グループホーム・サクレ江戸川でサービス管理責任者をしています。

仕事の中心は、一人ひとりにあった『個別支援計画』を立案することです。

しっかりとアセスメントしたのち、みんなが納得のいく計画が完成すると利用者さんも支援スタッフも主体的に動きはじめます。

みなさんの成長している姿を目の当たりにすることに喜びを感じています。

 

――大北さんは、現場で利用者さんと直接かかわることが好きでしたよね。今は、立場が変わっていかがですか?

大北:本当は直接支援のお仕事を続けたかったのですが、いつの間にか『サクレ江戸川』でもベテランの部類となり、いつの間にかサービス管理責任者になってしまったという印象です。

世話人として直接支援をしていた頃は、自分の意志で試行錯誤しながらやれていましたが、サービス管理責任者になってそれができなくなり、かなりジレンマを感じています。

でも、管理職の立場から自分の考えを伝えていくことで、自分自身の想いや方向性をあらためて考えなおすキッカケにもなりました。正直、大変ですが、自分自身の成長を感じているところです。

 

 

 

 

――では話しを戻して、『動機づけ面接法』の研修を受けようと思ったキッカケを教えてください。

大北:サービス管理責任者になりたての頃に上司からススメられたことがキッカケでした。

「スタッフの育成に役立つから一緒に勉強しよう」と言われました。

自分の考えをゴリゴリと押し通すようなリーダーシップは難しいと感じていましたし、かといって自分の考える支援を実現したいという気持ちもありました。

そんな悩みを抱えていたので、このような提案は嬉しかったと記憶しています。

そういえば、当時のサクレ江戸川には男性スタッフが多く、会議などでは『理論や根拠』をガンガン求められて怖かったです…

 

――それは地獄絵図ですね…  どう乗り越えてきたのでしょうか?

大北:まさに『動機づけ面接法』が拠り所になりました。

この技法を学ぶことで、コミュニケーションは『伝えるスキル』よりも『聴くスキル』の方が大切だと分かってきました。

当時は会議の質問攻撃に対して『しっかり答えないと…』と構えていました。

でも『動機づけ面接法』を学ぶなかで、その質問をした理由を聴いたり、望んでいるゴールの姿を聴いたりすることで、だんだん男性スタッフ特有の『価値観』を理解することができるようになりました。

ゴールを決めて、そこに向かって進んでいく道を『一緒に』つくっていけば良かったんだ。ということに気づくことができました。

 

 

――『動機づけ面接法』のメリットを『ひと言』でいうと何でしょうか?

大北:『自己洞察』がすすむ。ということです。

みんなそうだと思うのですが、自分の内面について正確に理解している人って少ないと思うのです。

自分自身としっかり向き合いつつ自己対話をスタートするには、他人からの良質な質問が必要になると思います。

『動機づけ面接法』は、穏やかに自己対話を促す『自己洞察』をすすめる技法だと感じています。

 

 

――具体的に人材育成の場面で活用した事例を教えてもらえますか?

大北:サービス管理責任者になったばかりの頃の話しです。

慣れない管理業務が増えたことに加えて、支援スタッフからの相談が重なり、自分自身もかなり混乱しており「早く答えを出さないと…」と焦ってばかりいました。

すべてが中途半端な状態のまま支援スタッフの相談にのっており、頭の中で別のことを考えてしまうなど、かなり注意散漫になっていたように思います。

 

――どのように変化していきましたか?

大北:まず、『動機づけ面接法』の基本姿勢である『レジスト』を意識しました。

『レジスト』とは、こちらが色々と言いたい気持ちをいったん抑えるというものです。

先ほども言いましたが、わたしの場合「早く答えを伝えなきゃ…」という気持ちがどんどん出てきてしまうので、それをいったん抑えていました。

その代わりに「一番相談したいことは何ですか?」と質問してみたり、「もっと話してもらえますか?」と促進してみたり、「〇〇ということですね。」と要約してみたりすることで、相手の『自己洞察』が進んでいる様子が手に取るように分かってきました。

相手の考えていることや大切にしていることが分かると、「あぁ… 私が答えを出さなくてもいいんだなぁ…」という考えに変わっていきました。

相手の考えや大切にしていることを一緒にまとめて、実現する方法を一緒に考えていく中で、最後は相手が「やってみます!」と決意の言葉を出してくれるようになりました。

消極的だったスタッフの人でもこのようなプロセスを経ることで、みずから考えて、発言して、実践することが増えてきました。

そしてその経験は、うまくいこうがいくまいが、ヒトを大きくするもんだなぁ… と実感しました。

この経験は、双方の成長につながっているようで嬉しかったです。

 

 

 

――『動機づけ面接法』の技法を使いはじめて2年ほど経過していますが、今はどのようにスキルを活かしていますか?

大北:日常的に会話の中へ取り入れています。利用者さんとの会話しかり、スタッフとの会話しかり。

スキルを活用しつづけることで、相手のことを『正しく理解』できるようになりました。

そして、利用者さんにもスタッフにも、自分自身で気づき、自分の意志で行動してもらうように、日常的にスキルの活用を意識しています。

 

――今では『動機づけ面接法』の技法を教える役割も担っていますね。やってみていかがですか?

大北:研修をさせてもらう中で、スタッフが手応えをつかんでいる様子をみると嬉しくなります。

同じ考え方・支援観をもって仕事ができることは幸せなことです。だからこそ、研修などを通じて知識を伝えていくことの必要性を感じています。

教えるのは難しいです。でも、教えることで『動機づけ面接法』のことをより深く理解できるようにもなりました。

 

――やはり、アウトプットは大切ってことですね。

大北:そうです。わたしの場合、利用者さんとスタッフへ『技法』として日常的にアウトプットをしていることに加えて、定期的に『研修』としてのアウトプットもしています。

この2つのアウトプット機会によって、『動機づけ面接法』がかなり身に沁みついてきたと感じています。

知識と経験が成長を支える。ということを実感できています。

 

 

 

――では最後に、これから『動機づけ面接法』を学ぶ人たちへメッセージをお願いします。

大北:『動機づけ面接法』は、相手がなにを考え、なにを大切にしているのかについて、より深く知ることのできる技法です。

そして相手も、自分自身がなにを考え、なにを大切にしているのかについて、より深く『自己洞察』できる技法だと思います。

これらは支援や仕事だけでなく、私生活にも役に立つと思うので、ぜひ学んでいくことをおススメします!

 

 


 

大北さん ありがとうございました。

一人ひとりと丁寧に接する大北さんの強みに、動機づけ面接法の要素が加わってパワーアップしまくっていますね!

これからも一緒に『動機づけ面接法』を広めていってもらいたいと思います!

 

ではでは

アディオス・アミーゴ