【職員インタビュー】同業他社から転職し「やりたい支援」を実現中! 『EXP立川』奥主さん

同業他社から社会福祉法人SHIPへ転職し、活躍の幅を広げているスタッフ奥主さんへのインタビューをおこないました。

障害福祉のお仕事もいろいろですが、他の会社とSHIPとの違いについて参考になる部分も多いかと思います。

奥主さんは現在、就労移行支援事業所のEXP立川でサービス管理責任者を務めつつ、SST(Social Skills Training)を社内で広める講師活動もおこなっているモチベーションの高いスタッフさんです。

 

 

 

 

 

【自分の『やりたいこと』が実現できる組織風土】

 

--転職のきっかけを教えてください。

 

奥主:大学が同じだったSHIPのスタッフからのお誘いがきっかけです。それまでは23区の地域活動支援センターで相談員を5年ほどしていました。

当時のSHIPは、まだNPO法人でしたが、福祉としての社会的企業を目指すという法人の意向を聞いて、「これは、色々勉強させてもらえそうだな。自分自身のステップアップになりそうだぞ!」と思って決めました。

SHIPに入ってから精神保健福祉士を取りました。福祉の大学を出ており受験資格はあったので、転職してから改めて勉強しなおして再受験にチャレンジして取得しました。

 

--転職してみてどうでしたか?

 

奥主:入社当初はグループホームのラファミド八王子で勤務していました。その後の「ジョブローテーション」が自分にとって大きかったかもしれないです。自分が希望したことや『こうしてみたい』と思ったことが叶う場所なのかなと感じました。

実際、入社の決め手にもなった上司の上田さんとお話をしていたときに「相談支援専門員の仕事は大変だよ~」と言われて、「いや、でも俺やってみたいです!」と言ったら「じゃあ任せる!」と言われて決まる、みたいな(笑)。

そして、相談支援専門員をやっているときに感じた地域のニーズをもとに「就労移行支援SSTを使ったコミュニケーション支援をガンガンする事業所をつくったら面白そうじゃないですか」と言ったら、その三か月後に決まる、という感じで。

SHIPは自分から発信した『やりたいこと』がちゃんと反映されて実現できるところなのかなと思います。

 

 

【サービス管理責任者の仕事は “みんなの想い” のまとめ役】

 

--現在の仕事内容を教えてください。

 

奥主:EXP立川の管理者とサービス管理責任者を兼任しています。個別支援計画を作ったり、利用者様の支援をさせて頂いたり、あとは企業訪問、営業活動、部下育成など、手広くやらせてもらっています。

今年度からは、社内でSSTを普及するための内部研修講師をやらせてもらっています。

 

--就労移行支援事業のサービス管理責任者として感じることのできた『成果』を教えてください。

 

利用者様が働きやすい環境にいる、EXP立川で習ったことなどを生かして働いているといった報告を受けたとき、一番成果があったかなと感じていますね。けっこう増えてきています。

 

--サービス管理責任者として、事務所全体に対して感じる成果はなんでしょうか?

 

奥主:利用者様の『就労』というひとつの目的に、みんなが一丸となって誰も置いてきぼりにならずに進んでいける、同じ方向をみんなで向いて団結して支援できている、というのを今、実感しています。

たとえば、就職以前に病状や生活の安定こそ大切、というケースがありました。

スタッフの意見は「生活面の立て直しをしていきましょう」というものもあれば、「就労移行支援なんだから、まずは仕事を優先しましょう」というものもあり、その中でニーズとデマンドを追究しながら、本人も含めて一つの方向性を決めていきます。

話し合いはかなり活発だと思います。

 

 

--スタッフの異なる意見をまとめる役割ですね。そのために工夫していることを教えてください。

 

奥主:そうですね、まとめ役をやらせてもらっています。

朝礼・終礼時には必ず報連相を徹底する、それぞれの意見に対するフィードバックの機会をつくる、細かいニュアンスの食い違いをなくすために個別で共有し合う、そういう場はけっこう持っています。

また、スタッフミーティングではボトムアップで議題を上げてもらい、それをみんなで話し合っています。

そのほか、週一回ほどのペースでスタッフと1on1面談をしています。定期的に面談の機会がおとずれることで、意見を言いやすい環境になるのではないかと考えています。

意見を出しやすい職場にしたいので、良くなるためになんでも活発に言い合える環境ってなんだろう…?と、その場のセッティング方法を模索しながらまとめている状況です。

 

--そのほか、活発に話し合えるための秘訣はなんでしょうか?

 

奥主:たとえば「そんな意見ぜったいダメだよ」というように否定されたら、もう話さないじゃないですか。なので、どんな意見でも出してくれたことや考えてくれたことには感謝を示しています。

すると、たくさんの意見を出してくれるので、こちらはその中から選ぶことができるんですよね。逆に意見が出ないとトップダウンしかなくなるので。

もちろん間違っていることは間違っていると言いますけれど、一人ひとりの考える力を大切にしていきたいですね。

 

 

【みんなで一緒に学んで成長していく雰囲気づくり】

 

--個人として苦労していることや大変なことはどんなことでしょうか?

 

奥主:私は障害福祉の経験が長いうえにキャラクターも濃いほうなので、感覚的におこなってきた支援について言語化して伝えていくことには苦労しています。

経験の浅いスタッフも多いので「どう支援したらいいんだろう…」と行きづまり悩んでいる場面をみることは多々あります。みんなで同じような質の支援をしてほしいので悩ましいところですね。

 

--未経験から就職するスタッフも多いのでしょうか?

 

奥主:そうですね、営業職だった人、福祉・心理の大学卒でそのまま就職した人、福祉とは無関係のIT出身の人などがいます。

就労支援の現場では、福祉の視点だけでなく、一般企業側の視点も大切です。それらを折衷させることが、利用者様にとっての良いサービス提供につながると考えています。

 

EXP立川の職員は現在6人で、全員正職員です。

また、外部の講師としてタスク管理プログラムを担当するタスクペディアの小鳥遊さん、陽転思考プログラムを担当する都築さん、整理収納プログラムを担当するひばちさん、TRPGプログラムを担当する心理系大学教授の方などに応援してもらっています。

みなさんスキルが高いというか、学習意欲が高いので、そこにはとても助けられています。

たとえば、研修の案内をすると「学びたいです」「行きたいです」とみんなが言ってくれて、成長することにとても主体的なので、教える側としてもありがたいです。

 

 

--現在の事業所としての課題はどんなことでしょうか?

 

奥主:他の就労移行支援事業所がたくさんある中で、まだまだEXP立川の良さを地域の人たちに伝えきれていないのかなと感じます。

昨今、メンタルヘルスの課題が深刻化している中で、EXP立川で提供する心理学の視点をもとに構成された就労支援プログラムに合う方はもっとたくさんいらっしゃると思っています。ですから、提供しているサービスの内容を広めていく活動も必要だと感じています。

 

認知行動療法SSTアサーショントレーニング、ストレスマネジメント、レジリエンスなど、自己分析や自分を振り返る部分を多く持ってもらえる内容です。

利用者様には「なぜ失敗したのか」自分を振り返る時間を持ってもらいたいと思います。それがないと、同じことのくり返しになってしまうので。私たちもそうじゃないですか(笑)。でも自分の失敗って見たくないじゃないですか。

それを振り返って、糧にしてほしい、今上手くいっていないと感じている人、それをくり返している人には、ぜひ一度、EXP立川のプログラムを体験しに来て欲しいと思います。

 

 

--EXP立川は4周年を迎えましたが、最初のころと変わった部分はありますか?

 

奥主:以前は男性の利用者様が多かったけど、最近は女性の利用者様が増えましたね。プログラムが合うと感じる人が増えたのでしょうか。

プログラムの提供方法が当初とは大きく変わりました。

以前はステージ制というか、ここまでできていないと次にいけませんというような形でした。今は、ご自身でプログラムを選択していただく自律性を尊重した方法を取っています。

このような小さな自己選択と自己決定の経験は自己責任感の向上につながり、プログラムへ打ち込む姿勢や日常生活での実践への意気込みも上がっていきます。

 

また、4年の活動を経て地域の企業や病院などとつながりが増えましたね。ありがたいことです。

今年度より就労定着支援のサービスがはじまったこともあり、障害をオープンにして働く利用者様の企業訪問の機会がかなり増えました。

企業では、人事のご担当者の考え方と、現場の一般社員との考え方に隔たりがあることもあり、その調整なども仕事になってきました。病状の確認や就職の方向性を共有するために、病院とのカンファレンスをおこなうことも増えてきました。

 

 

【成長の秘訣は『タスク管理』の実践】

 

--SHIPに転職してご自身で変わったと感じること、新しく身についたことなどはありますか?

 

奥主:一番は「タスク管理」ですね。スケジュール管理が自分の中で大きく変化しました。

それによって仕事の見え方、捉え方も変わってきています。体調も崩れなくなりましたね。自己管理ができるようになってきたという感じです。

今までは「あれやんなきゃ」「これやんなきゃ」と注意があちこちに逸れてしまい、夕方になるとなにも終わっていない… という状況でした。

EXP立川のプログラムの中でも『タスク管理』は推しのプログラムなので、自らが進んで効果を実証しようと考えていました。そして、実際に変わってきたなぁと思います。

タスクを書き出して外在化することで、やること・やらないことを選別し、今やることに集中して取り組めるようになってきました。

結果として、抜けや漏れが減ってきたと思いますし、体調の安定にもつながっていると思います。

 

 

【大切にしている想いを実現するために】

 

--SHIPの企業理念については、どのように考えていますか?

 

奥主:自分が提供する研修でよく伝えるのですが「みんなが力を出し合い、みんなで幸せになる社会づくり」というところが好きなフレーズです。

元々は、前身のエスエスエスの理念の「私たちはまず助けます」というフレーズが大好きだったんです。

その人に合ったサービスだとか支援というのは、一人ひとりに必ずあると思うので、それを目指して支援することこそ使命であるとスタッフには伝えていますし、自分でも強く意識しているところです。

 

ちょっと無理かなぁ…とか、面倒くさいなぁ…と思う業務もあります。そんなときは理念にもある『挑戦する』という気持ちを思い出します。

福祉の仕事とはいえ営業の仕事もあります。サービスを知ってもらうためには新たな知らない人に飛び込んでいくわけじゃないですか。「就労移行支援は株式会社だけじゃないですよ」「EXP立川で提供する多様なプログラムを見てください」って。

『挑戦しよう』という気持ちは、今いるスタッフ全員に共通していて、強さと頼もしさを感じますね。

サービスの質という部分でも、常に向上を目指してプログラムをリニューアルしています。古いものをブラッシュアップしたり、新しいものを取り入れたり、今、事業所を利用してくれているメンバーに合うことを日々検討しながら成長していると思います。理念をもとにスタッフみんなが前進しているというか、上を目指している印象はありますね。

 

 

--EXP立川の事業所理念については、どのように考えていますか?

 

奥主:利用者様には、体力面だったり、症状・病状の面だったりで、フルタイムの就労は難しく、週1~2回の仕事でないと難しいのでは… という方もけっこういらっしゃいます。

国の法定雇用率を考えると週20時間は働かなければならないので、それを底上げしていくのも大事かとは思うのですが、本人が望んでいる生活であるとか、目指す姿というのは、一緒に考え経験しながらでないと見つけられません。

それこそ事業所の理念である「一人ひとりに合ったワークスタイル」に当てはまる部分だと思います。

利用者様の中には、頑張ってトレーニングしてきたにも関わらず、なかなか上手くいかない部分もあります。そういった部分は支援者としても伝えづらく感じるものですが、一般企業での就職のことを考えると、そこはしっかり伝えながらご自身で自覚してもらえるようにします。

そして、真の自己理解にたどり着いてもらうことが本物の支援だと考えています。一人ひとりに合った働き方を、一人ひとりに知ってもらうという気持ちで、理念に基づいた支援を創意工夫しています。

 

--理念を実現するための課題はありますか?

 

奥主:めちゃくちゃありますね(笑)。福祉って難しいじゃないですか。どこまでいったら完璧ということはないし正解もないわけで。それこそ一人ひとりに合った支援を追究していくしかないんです。てんかんもそうですし、うつも、統合失調症も、一人ひとりで病状も全然違うじゃないですか。

ストレス過多でも、気候の変化だったり対人関係によるトラブルだったりで全然違うと思うので、そこをもっと、個別に支援できるような、どんな人が来ても「あなたにはこの方法が合っているんじゃないでしょうか」と言えるような人間になりたいですね。まだまだ勉強が足りないのですが。SHIPの先輩を見習っていきたいです。

 

 

【Social Skills Training(社会生活技能訓練)】

 

--SSTの研修講師を務めておられますが、どんな気持ちで研修を進めていますか?

 

奥主:私自身がかつて大学時代や外部機関で受けてきた研修というのは、専門用語ばかりで、小難しくて、なにを言っているのかチンプンカンプンというようなものが多かったんですね。

でも、分かりやすい講師もいて、そういう人は、専門用語はあってもそれを分かりやすく解説してくれたり、技法であればどのように使うのかを具体的に示してくれたりしました。

自分もそういう誰もが分かりやすいカタチで、頭に入るだけものではなく、自分の身になるもの、普段から使えるスキルとして、研修内容を伝えていきたいと思います。

受け身で聞いているだけじゃなく、自分の意見をどんどん出せる、ひとの意見を聞いて気づきがある、実際の支援の場面で使える、理解しやすくやる気の出る、そのような研修をしたいと思っています。

『明日からでも使える』ってのがポイントですかね。実際には難しいですが、そこはくり返しですね。

 

 

【SHIP=自ら進んで動く人たち】

 

--SHIPの求める人材はどのような人だと考えますか?

 

奥主:何事にも向上心を持っている人と働きたいですね。福祉業界の中でも、SHIPは自ら進んで動くことを求められる会社だと思います。ですので、受け身な人だと難しいのかなぁと思います。

疑問を持ったら質問したり、試しにチャレンジしてみたり、勉強のために書籍を読んだり研修に参加したり、そういうスタッフが多いと思います。

 

意見交換も自ら進んでできるといいですよね。新入社員だから・部下だから言えないとかではなく、少しでも良くするために、一人の福祉に関わる者として発言してくれる人はSHIPの社風に合うのかなぁと思います。

「何かある?」と聞いても「ないです」「今のままで大丈夫です」という感じでなく、「こうしたい」というのが出てくる人だと、支援に対しても色々な意見が出てくるのかなぁと思います。

今、一緒に働いているスタッフのみんなは、そういう部分をすごく感じますし一緒に働いていてとても気持ちが良いです。

 

 

 

奥主さん、ありがとうございました。

利用者様に対しても、スタッフに対しても、誠意を持って関わろうとしていることや、現状に満足せず、前を向く姿勢が伝わってきました。

奥主さんが講師を務めたSST研修にもオブザーバー参加させてもらいました。

参加者はみんな楽しそうで、よい雰囲気の中、みんなが主体的に意見を出し合い、本当に身になる研修が実践できていると感じました。