【職員インタビュー】「まずその子を知らないとコミュニケーションはできない」子笑・石川さん

放課後等デイサービス子笑の石川さんにお話を伺いました。

前職は保育園に勤めておられ、2023年4月にSHIPへ入社されました。保育士、幼稚園教諭の資格をお持ちです。

 

「統合保育」で、障害児への知識不足を感じた

――転職までの経歴を教えてください。

 

石川

最初は、信用金庫に勤めていました。でも、どうしても保育の仕事がしたくて専門学校に行き、保育士の資格を取得しました。小学校の給食の配膳員や、学童保育などでも働き、乳幼児が100名程いる保育園で5年間働きました。

そこでは、障害のあるお子さまと健常児のお子さまとをいっしょに見る統合保育を行っていました。障害についての研修はもちろん受けましたが、実際に関わるのは初めてで、手探りな部分もありました。

発語がないお子さまとどうやったらもっとコミュニケーションが上手くいくかなど考えるのですが、毎日の仕事に追われて勉強する時間が取れず、知識不足を感じる中で、それならいっそのこと、障害者支援の仕事に就いて勉強したいと思い、転職することにしました。

 

 

 

――SHIPを選んだキッカケは何ですか?

 

石川

転職サイトでSHIPの求人情報を見つけたのですが、私は転職の際にすごく調べるくせがあるんです。異動があると知り、どんな事業所があるか調べて、児童支援以外の、まったく未経験の生活介護などにも異動できる気持ちでいかないと採用されないと思い、ブログもよく読ませてもらいました。

子笑のブログでは、自立課題の種類の多さと、その課題をお子さまが目で見てパッと理解できることに驚きました。見学で実際にお子さまがスケジュールを自分で確認して、スムーズに落ち着いて動けているのを見て、こういう課題や環境なら、確かに障害を持ったお子さまでも楽しくできるだろうなと思い、ここで働きたいと思いました。

また、採用情報に「ゆとりがない人によい仕事はできない」とあるのを見て、こういうことを言ってくれる職場で働いてみたいなと思いました。

 

 

――現在の仕事内容を教えてください。

 

石川

お子さまたちの送迎と、通所後は、担当制で個別支援計画に沿ってスムーズに活動できるように支援をしています。

私は、小学3年生から高校1年生くらいのお子さまを6名担当しています。曜日によって毎日来る子もいれば、高校生で部活が忙しいなどで、月に1,2回くらいの子もいます。

なので、久しぶりに来ても落ち着いて過ごせるような環境づくりに気をつけています。

他に、事務作業や支援の準備などもあり、おやつのパンの発注も担当しています。

 

 

コミュニケーションは「知ること」から

――仕事のやりがい、大変なことを教えてください。

 

石川

やっぱり「コミュニケーション」です。

お子さまが何と言いたいのか分かりたい、けど分からない、というとき、性格や行動を見て、伝え方を工夫するのですが、それが通じたときは嬉しく感じます。また、不安になってしまうお子さまが落ち着いて過ごせたときにもやりがいを感じます。

前にブログに書きましたが、ABA(応用行動分析)の専門家である大学院教授を招いた研修では「お子さま一人ひとりの特性を見て、ささいなことから試してみればよい」という気づきがあり、早速実行したことがあります。

机をガタガタと揺らすお子さまがいて、どうしたらいいかと思っていたのですが、研修後にその子をよ~く観察していると、机のガタガタは興味をもっていた「地震」を表現していると気づきました。

さらに、文字より絵なら理解できることは分かっていたので、絵や図の多い東京都の防災ハンドブックをお渡しすると、驚くほど落ち着いて読めるようになりました。

これらの経験を通して気づいたことは、まずその子を知らないとコミュニケーションはできないなということです。まずは知ることから、これは発達障害があってもなくても、どこに行っても同じことだと思います。

 

目からウロコ!! ~子笑職員が研修後に学んだことを実践してみたら~

 

それと、面接時に散々お伝えしたのですが、私はパソコンが本当に苦手なんです。半期に一度、支援の効果検証のために資料を作成するのですが、PowerPointは使ったことがなく、何から手をつけてよいか全く分からなかったです。

前職でも事務仕事はほとんどしてこなかったですし、パソコンで何かを作るという仕事はなかったので本当に大変でしたが、その分、初めて作り上げたときの達成感は大きかったです。

今では、同僚たちと切磋琢磨しながら、楽しくやっています。ブログの作成やパンの発注もパソコン作業なので、少しずつ早くできるようになっているのがうれしいです。

前の保育園でも仕事はたくさんあったのですが、放課後等デイサービスでもこんなにもやることがあるんだと驚きました。でも、職場の人間関係がすごく良くて、分からないことはすぐに教えてもらえるので本当に助かっています。

 

 

 

――前職との違いを教えてください。また、子笑が力を入れているサービスがあれば教えてください。

 

石川

会話のできない子どもたちとのコミュニケーションの取り方について不安を感じていました。

そして、子どもたちが自分でスケジュールを確認して、職員の介入がなくてもサクサク課題をこなしている姿には驚きました。

写真カードを使ってこちらの期待を伝えることで、子どもたちが何をすべきか理解できること。会話はできなくても字は覚えている、だから本は読めていること。

子笑でおこなわれている関わり方を見て、言葉以外にも意思疎通をサポートできる方法はたくさんあるのだと気づかされました。

このように「個別支援」に真剣に取り組んだことで身に沁みて感じることは、やはり「まずはその子を知らないと支援できない」ということに尽きます。

同時に、この子は何が好きか、何に興味があるか、深く知ることができるたびに、連動して支援のアイデアが湧いてくる面白さを感じています。

そういった情報やアイデアを他の職員さんたちと共有して、さらにアドバイスをもらいながら実際の支援に取り組んでいます。

 

 

子笑で力を入れていることですが、クリスマスや夏祭りなどイベントには力を入れています。

どんなイベントにしていくかについては、ミーティングを重ねながら、職員全員で企画を出し合って決めていきます。

昨年のクリスマスでは、ジェスチャーゲームとダンスを行いました。ジェスチャーゲームは『パーテーションを挟んで同じ動きをできるか?』というゲームです。

ダンスは初めて取り入れてみました。「赤鼻のトナカイ」の曲に振り付けをしてダンスをしたのですが、練習からみんな積極的に参加してくれました。ゲームもダンスもとても盛り上がりました。

2月におこなった節分イベントでも、「鬼のパンツ」という曲でダンスをやって、それもすごく楽しそうに踊ってくれました。

リズムに合わせて体を動かすことが好きな子もいることが分かったので、今後も、子どもたち一人ひとりのことをより深く知っていき、一人ひとりが楽しく活動できるように取り組んでいきたいと思います。

 

ココロひとつに❤子笑のクリスマス

 

「気づき」の大切さが分かった

――職場の雰囲気、魅力を教えてください。

 

石川

雰囲気は、すごくいいです。本当にみなさん明るくて、私の苦手なパソコンのことも快く教えてもらえます。「間違ってもいいからやってごらん」と、背中を押してもらえました。

その『間違ってもいい』の言葉かけは、違った面にもプラスの働きがあると感じています。

前職でもヒヤリハット報告はあったのですが、子笑に来てはじめてヒヤリハットがマイナスイメージにならなくなりました。

大きなことが起きる前に気づくことは大事なんだなという本質が分かりました。

マイナスにとらえるわけではなく、こんなことがあったんですよ、ここが危なかったんですよ、と一歩手前のところで伝え合える環境はすごくイイなと感じています。

皆さんに支えられ、教えてもらいながら、本当に楽しく仕事させてもらっています。

 

土日祝日の休みは、本当に体が休めて、気持ちを切り替えてリフレッシュできるなと感じます。

休む時はしっかり休むことで、仕事に打ち込めています。

以前は残業することもありましたが、最近は時間を上手く使えるようになり、定時で業務を終わらせられるようになりました。

スローペースではありますが、徐々に仕事の効率を上げられています。「今日は絶対この仕事を終わらせるぞ」という意気込みで仕事に臨んでいます。

お給料については、家族手当があることは珍しいので、ありがたいですね。

 

 

 

――障害者支援は未経験で入社して、どうでしたか?

 

石川

未経験な支援方法や作業内容が多かったのですが、事務局より提供される研修が分かりやすく、子笑の先輩職員さんも親身に教えてくださるので本当に働きやすいと感じています。

支援者同士のコミュニケーションも取りやすいです。

私が意見を伝えると、「そうだね、たしかにそういうことになりますね。」と意見を受け止めてもらえた上で、あらためて目的や根拠などを説明してもらえるので、「ああ、そうか」と気づかされます。毎日が気づきのくり返しです。

SHIPの研修は本当に分かりやすくて、スッと頭に入ってきて納得できます。自分の支援を振り返りながら「ここがダメだったのか」と、経験と知識が結びつき、すごく勉強になっています。

 

 

 

――どのような研修が役に立ちましたか?

 

石川

たとえば、音にすごく敏感な、聴覚過敏のお話しは印象的でした。

私たちは、聞きたい音だけを聞き分けるための音量調節が自動的にできます。しかし彼らは全ての音が同じボリュームで聞こえてしまう、といった生きづらさを持ちながら日常を過ごしてきたのか・・・と、とても驚きました。

前職の統合保育の子どもたちのことを思い出すと、騒がしい環境の中でいっしょに活動することもあったので、もし聴覚過敏の子がいたとしたら、本当につらい環境だっただろうな、と振り返りました。

 

他にも、シングルフォーカスの特性や概念化の難しさの研修はためになりました。視覚的な情報提示の際に「絵カード」のような概念的なものよりも、「写真カード」のような実物に近いものの方が理解しやすい子どももいるということを教わりました。

一人ひとりの理解の特性を知ったうえで、実際に子どもたちと接してみると、見方や関わり方がかなり変わっていきました。

SHIPの研修はすごく分かりやすいので、いろんな保育園で実施したらいいんじゃないかと思うくらいです。

 

もし保育園に戻ったらどうするか、と考えることもあります。

発達障害に関する勉強を重ねると、統合保育の環境は、やっぱり障害をもつ子がパニックになりやすい環境だと分かります。でも、視覚的な情報提供のツールを作る時間を取ることは難しそうです。

少しでも過ごしやすい環境にするためには、障害のある子とそうでない子の活動を分けることが検討できそうです。そして、一緒にできるところは一緒にするという仕組みをつくることができるといいと思います。

また、視覚的な情報提示のカードは、障害のある・なしに関係なく、子どもたちの理解とスムーズな行動の手助けになると思います。

今なら前職の保育園でも、もっと分かりやすくサポートできたのかなと反省も含め感じています。

 

 

「あきらめない心」で子どもの成長をサポートしたい

――今後の目標、課題を教えてください。

 

石川

本当にパソコンが苦手なので、それが一番の課題です。

この一年、先輩職員さんたちに教えてもらい、大分できるようにはなりました。

ブログ編集の文字入力や写真挿入はスムーズにできるようになりましたが、支援記録などを「まとめる」という作業は、自分の力量に不安を感じながらしている状態で、まだ先に進めていないと感じています。

まずは、自分の基本的な仕事が一通りできるようになりたいです。

その後で、自立課題を増やしたり、内部研修を積極的に受けたり、さらにスキルアップしたいと思っています。

今は日々に追われているので、キャリアップを考えるのは心の余裕ができてからかなと思いますが、何事にも前向きに取り組んでいきたいです。

 

 

――どんな人と働きたいですか? また、どんな人がこの仕事に向いていると思いますか。

 

石川

前向きな人が良いですね。

失敗は成功の基じゃないですけど、失敗してもめげずに、それを仕事に活かそうとできる人です。

私自身が、ヒヤリハットが多かったとき、先輩たちの「それは気づきだから」「間違いをくり返さないように気を付けれは良いんだよ」の言葉をもらい、本当にそうだなと感じ、前向きに仕事に向き合うことができるようになりました。

そんな経験からも前向きにチャレンジしていける人がこの仕事に向いていると思います。

 

 

 

――最後に、福祉で長くは働くために必要なことは何だと思いますか?

 

石川

あきらめないことですかね。

できないことを少しずつでもできるように、生活しやすいようにサポートしていきたいという気持ちが強くあります。

前職の保育園からたくさんの子どもたちを見てきて、子どもたちの可能性の大きさを実感しています。

たとえば、以前は音がすごく苦手だった子が、今では音楽が大好きになるなど、子どもの成長は本当に大きな変化があると驚かされます。

そういった可能性を広げていくために、どうやったら支援が上手くいくかと日々試行錯誤しているので、あきらめない心が福祉の仕事には必要だと思います。

 


 

石川さん、ありがとうございました。

苦手なことも、初めてのこともすごく意欲的に取り組んでいるのを感じました。

これからも前向きに頑張ってほしいと思います!