【職員インタビュー】心にゆとりをもち、楽しんで一緒に働きたい『笑プラス』品川さん
生活介護『笑プラス』の生活支援員、品川(しながわ)さんにお話をうかがいました。
2019年7月に入社され、約2年前からは主任の生活支援員として働いています。
介護系の専門学校出身で、介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格をお持ちです。SHIPに入社してから強度行動障害支援従事者とサービス管理責任者の養成研修を修了しました。
2023年4月からは、生活介護『笑(えみ)』に異動して、活躍の幅を広げているスタッフさんです。
「ひとりで悩み続ける悪循環」から転職
--転職までの経緯や理由を教えてください。
品川:
介護の専門学校を卒業後、就労継続支援B型と生活介護を経験しましたが、重度の知的障害のある方への支援方法をもっと勉強したいと考え、SHIPへ転職しました。
母親が看護師なので、本当はわたしも看護師になりたいと考えていました。でも、小さいころからその姿を見ていて、率直に大変そうだな・・・とも思っていました。
進路をどうするか悩んでいるときに、たまたま学校の行事で障害者施設に訪問することがあり、そこで初めて障害をお持ちの人たちと接しました。そこで率直に「楽しい!」と感じ、障害者支援の分野に関心を持ちました。
前職の生活介護事業所で、初めて重度の知的障害のある方への支援を担当したときのことです。
まだ右も左も分からない状態で、先輩からは「コミュニケーションが大事だよ」と教えられました。ですから支援の基本は「コミュニケーション」=「関係性」と捉えて、なんとか支援を成り立たせようと頑張っていました。
でも徐々に、利用者様との距離感や支援方法に戸惑ったり、迷ったり、限界を感じることが増えてきました。それでもまわりに迷惑をかけたくなくて、また自分から相談するのが苦手という性格もあって、一人で解決しなければ と抱え込んでしまいました。
最終的には体調を崩してしまい、働くモチベーションの維持も難しくなり、転職を考えることになりました。
--SHIPを転職先に選んだ理由を教えてください。
品川:
前職の生活介護で働いていたとき、どういう風に支援をしたらいいか分からなかったので『自閉症支援』のキーワードでネット検索しました。その時にSHIPのホームページを見たのが入社のキッカケかなぁと思います。
その頃の自分はまだまだ勉強不足でした。どのようなことを利用者様が思っているのか、地域で暮らすにはどのようなサービスやサポートが必要なのか。
また、重度の知的障害のある方へのアプローチ方法などを、もっと学んで成長して、いろんなことに挑戦していきたいと考えるようになり、SHIPへの転職を決めました。
「言葉がいらないコミュニケーション」を実感
--現在の仕事内容を教えてください。
品川:
育成担当スタッフの原田さんと一緒に立てた支援計画のもと、利用者様に伝わるよう視覚支援の提供や見守り、散歩などの外出支援や自立課題の作成、支援記録の入力、利用者様のアセスメントなどを行っています。
主任の業務としては、グループホームとの連携を図ったり、現場全体の状況把握に努めたり、職員の皆さんのフォローなどを行いながら支援の相談に乗ったりもしてます。
――SHIPの生活介護事業所では「重度の知的障害のある方」を対象としていますが、具体的にはどのような利用者様が多いのでしょうか?
品川:
障害支援区分が最重度の5~6の方がほとんどです。言葉によるコミュニケーションやイレギュラーな状況への理解の難しさから、自傷や他害、不安、パニックなどを起こす強度行動障害をお持ちの方が大勢いらっしゃいます。
たとえば、病院に行くために早退するとか、雨が降ってきたので散歩からドライブに変わるといった予定の変更はよくあることです。その変更について言葉で伝えても理解できず、先のこともイメージできずに混乱してしまう症状は、自閉症の方の困りごとのひとつです。
そのためコミュニケーションの方法は、自閉症の人たちにとって、理解しやすく、見通しが立ちやすいように、絵カードなどの目で見て分かりやすいコミュニケーションツールを多用するよう努めています。
--仕事のやりがい、大変なところを教えてください。
品川:
先ほどもお伝えしたように、重度の知的障害や自閉症のある方々への支援なので、言葉ではなく視覚的なツールを使用しているのですが、はたから見ると「なんで声をかけないの?」とか、「なんで反応しないの?」などと思われがちです。
でも、一日の終わりに利用者様とやり取りしたコミュニケーションカードのBOXを見てみると、本当にたくさんのカードが入っていることにみんなで驚いています。「言葉を使わずにこんなにやり取りしたんだな~」ということを実感しています。
そして次々、「今度はどうやって伝えてみようかな」「これならもっと理解できるかな」と前向きに考えるようになり、新しく試してみたいことが尽きません。毎日、たくさんの発見があり、そこにとてもやりがいを感じています。
一方、何がきっかけで利用者様が不穏になるのか分からないことも多いので、常に気を張って観察していくことが求めらます。それが大変だと思うこともありますが、またそこから気づかされることも多いので、少しずつ知識と経験がつながってきていることも実感しています。
――他の会社と比べて、とくに「力を入れているサービス」は具体的にどのようなものでしょうか?
品川:
「アセスメントを通しての根拠のある支援の提供」だと思います。
以前の職場は、言葉によるコミュニケーションや関係性を重視した支援方針で、ベテラン職員の経験や勘をたよりに進めていくような風土でした。でもそのベテランの職員が辞めてしまうと、残された職員ではなかなか上手くいかなくなってしまいます・・・
SHIPの『笑プラス』では、TEACCHプログラムを基にした構造化支援の提供 や TTAP(ティータップ)というフォーマル・アセスメントを使っています。
客観的な視点から「できること・できないこと・できそうなこと」を評価しながら支援計画を立てているので、誰でも同じように支援できるという部分には、すごく力を入れていると思います。
相談しやすく「オンオフの切り替え」ができる職場
--職場の雰囲気を教えてください。
品川:
誰にでも相談しやすい雰囲気があると思います。
前の職場では、自分が担当だからと一人で悩みを抱えてしまい、精神的にダメージを負ってしまいがちでした。SHIPに入ってからもケース担当は決まっているのですが、スタッフみんなで一緒に考えてつくり上げる支援計画をもとに、チームによる支援が提供できていると思います。
一人ではないと感じられることは、職員にとってはとても心強く、心の支えになると思います。
--給与や休日など、働きやすさはどう感じていますか。
品川:
年収は正直、いいと思います。
また、生活介護は土日がお休みなので、自分の中でも月曜から金曜働いて土日はしっかり休むというオンオフの切り替えができていると思います。
急な体調の不調や予定が入った場合でも、まわりの人たちがフォローしてくださるので、焦らずお休みを取れると感じています。
前の職場も土日休みだったのですが、業務がたくさん重なると休日に職場に行くこともありました。SHIPの生活介護では『仕事と休みとのメリハリ』がつけられて、「月曜からまたがんばろう!」と気持ちが切り替えられるので、体調面もすごく良くなっていると感じています。
「チーム支援」で一緒に取り組んでいく
――主任職としては2年目とのことですが、育成側の職員としての考えを教えてください、
品川:
相談に乗りながら「一緒に取り組んでいく」というところを大事にしてます。
自分が担当だから、自分の仕事だから、というプライドや責任感は、どうしても出てきてしまうと思います。一方、一人で抱えこんでしまうと、主観的な考えになりがちですし、表面上の観察や評価しかできなくなってしまいます。
SHIPに入りたてのころや主任になりたてのとき、自分もそうだったので・・・
異業種から転職される方もたくさんいらっしゃるのですが、せっかくこの分野に、しかもSHIPに転職してくれたのだから、福祉の仕事を嫌いになってほしくないと思っています。
さらに、重度の知的障害者の支援の面白さを感じて続けてもらえるように、これからもサポートしていきたいです。
--今後の目標・課題を教えてください。
品川:
自分の目標としては、今ある現状に満足せずに、たくさん知識をつけていきたいと思っています。
今でも支援の現場に入ることは多いので、利用者様の行動からたくさんの気づきをもらっています。また、新たなアセスメント方法などを育成スタッフの方の内部研修を受けて学んでいる最中です。
ひと言で障害といってもたくさんの疾患があります。それぞれの特性や特徴といった知識を得ることで、多角的な視点から支援を考えられるようになりたいので、これからも勉強を続けていきたいです。
またSHIPは個々のキャリアUPをサポートしてくれるので、自分に合わせたスキルアップが期待できると思います。わたしは今は、資格サポート制度を利用して、仕事に活かせる資格を取りたいと考えています。
--どんな人と働きたいですか。また、どんな人がSHIPに向いていると思いますか。
品川:
本当に主観なのですが、仕事を楽しむことができる人はいいなと思います。
以前の職場では、チーム支援が根付いていなくて担当者が一人で抱え込み、まわりの職員も担当なんだからやってよ、担当だからできるでしょ、と協力的ではなかったので。なかなか相談できず、こころに余裕をもって仕事を楽しむことができていなかったと思います。
仕事なので悩んだり落ち込むことはたくさんあると思うのですが、SHIPはみんなで相談し合える環境があるので、支援の中や業務の中で楽しみを持ちながら一緒に働いてもらえたらと思います。
--最後に、福祉で長く働くために必要なことは何だと思いますか。
品川:
「話せる相手がいる、その環境がある」ことだと思います。
たとえ悩みを抱えて支援につまずいても、誰かに気軽に話せることで、自分にはなかった答えが見つかることがあります。
重度の障害のある方は、言葉が話せなかったり、不穏の前兆がなかなかつかめないなど、最初はびっくりすることや戸惑うことが多いと思います。
その中でも気づいた点や感じたことを職場で気軽に話せることで、大変さだけでなく楽しさを感じながら日々の支援に取り組んでもらえるのではないかと思います。
品川さん、ありがとうございました。
個人としても、育成スタッフとしても、今後への意欲をビンビン感じました!
また、品川さんと同じように、話せる環境がなかったり、他の人に迷惑をかけたくない気持ちや責任感から悩みを抱えてしまう人は福祉業界には多いのだろうなあとあらためて思いました。
今後も、主任として一緒に取り組む姿勢で頑張ってほしいです!
障害福祉マンガ劇場「人生のてんかん記」作者・パープルカフェ主催・難治性てんかん当事者
元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士