【職員インタビュー】「どう支援するかの前に、どこに支援が必要か」『友セカンド』永田さん

 

グループホーム『友セカンド』の永田さんにお話をうかがいました。

2019年5月に、友セカンドのオープニングスタッフとして入社し3年と数ヶ月。

現在は主任世話人として、後輩やパート職員への指導も行っています。資格は社会福祉士介護福祉士をお持ちです。

友セカンドと、重度障害者支援について、その魅力から課題まで、真摯に語ってくださいました。

 

 

【新しい、広いフィールドで働きたくてSHIPへ転職】

 

--入社のきっかけを教えてください。

 

永田:転職先を探しているときに、合同就職説明会でSHIPを知ったのがきっかけです。

前職では身体障害のある方への在宅支援をしていました。会社の規模は小さく、事業所もひとつだけで、もう少し広いフィールドで働きたいと思っていました。合同就職説明会で話を聞いた後、SHIPのホームページを見て、面白そうで、積極的な姿勢を感じる会社だと思いました。

身体障害者の方への支援の仕事を長くしてきたので、「もっと自分のできる仕事を増やしたい」「次は知的障害・精神障害に関わる仕事をしたい」と思っていました。

その頃、ちょうど友セカンドのオープニングスタッフが募集されていたのもタイミングがよかったと思います。

 

 

--現在の仕事内容を教えてください。

 

永田:グループホームの世話人の仕事は、利用者様の生活の直接支援、通院の同行、買い物をふくめた金銭管理、関係機関や利用者様のご家族と連絡を取りあうなど、多岐に渡ります。

それぞれの利用者様の特性に合うように生活環境を整えることも重要な仕事のひとつです。たとえば、見通しが立たないと安定しない方には、その人の特性に合わせた分かりやすいスケジュールを掲示したり、行動の切り替えをうながすための視覚的ツールを使用するといったことを行っています。

このあたりは自閉症の特性を理解したうえで、一人ひとりの利用者様を理解していく過程が必要なので簡単ではありません。そのため、SHIPではTEACCHプログラムの構造化などの考え方をみんなで学びながら、少しずつですが適切な支援の提供を具体化しています。

 

また、今年の4月からは主任世話人として新入職員の教育を担ったり、他の世話人の相談を受けたり、パート職員向けの研修内容を考えたりもしています。

主任という立場は、まだ全然板についていませんが、新しく入ったスタッフにも、早い段階でちょっとした成功体験を感じてもらえるようにサポーティブな関りを意識しています。

 

 

 

【行動障害のある方への『利用者様主体』の支援のむずかしさと面白さ】

 

--仕事のやりがい、大変なところを教えてください。

 

永田:やりがいでもあり、大変でもあることは、重度の知的障害・自閉症の方、強度行動障害のある方、一人ひとりに合わせた「利用者様主体」での支援の実現です。

福祉サービスは利用者主体が原則ですが、友セカンドのように強度行動障害のある利用者様の場合は、ご本人の要望にすべて合わせてしまうと、結果的に上手くいかなかったり生活自体が成り立たなくなってしまうことも多々あります。

そこで必要になることは、「環境づくり」と、「どこに支援が必要か」の見極め、そしてそのための「学び」だと思います。

生活の大まかな枠組みはこちらで管理させてもらいながらも、行動の一つひとつは本人が主体となって動けるようにと環境をつくる必要があり、それは構造化応用行動分析などの考え方を学ぶと具体的になります。

 

 

また、学んでいく中で、どういう支援をするかの前に「どこを支援するか」が大切だと分かってきました。

私たちは障害者のことを常に「できない人」と見てしまいがちですが、実際にはできることがたくさんあって、ちょっとした一部分でつまずいて失敗体験になっていることがよくあります。

そのあたりを見極め、ご本人の主体性を活かした生活を実現していくというのが今やっている支援の基本的な考え方です。

実際にやってみると簡単ではないのですが、そういう難しさもふくめて面白味のある仕事かなと思っています。

 

 

--強度行動障害とは、具体的にはどのような特徴がありますか?

 

永田:その方によって本当にいろいろあるのですが、例えば、お風呂に入るのを拒否する、尿失禁を故意くりかえす、壁に穴をあけてしまう、着衣を拒否して全裸で過ごす、そのために外出ができない、などがありますね。

その人その人によって出て来る行動はまちまちなのですが、どの行動も最初は衝撃的でした。

はじめの頃は想定を超える行動の連続にただただ驚きました。明らかに不適切な行動だとは分かっても、そこからどう支援していいか、すぐには分かりませんでした。

上司に相談してアドバイスをもらったり、内部研修で障害の特性を学び、徐々に経験を積んでいく中で、どのように支援すれば良いかが身に着いてきたと感じています。

 

 

具体的にうまくいった取り組みとしては、ある利用者様への構造化支援のことが思い出に残っています。

 

入社して数ヶ月の頃のこと。服を着ることを完全に拒否して全裸で過ごしてしまう方がいました。

最初のころは職員が服を用意して「これを着てください」と持って行っていました。でもそれだと着てくれませんでした。

そこで次の支援として、居室の壁に着る服をハンガーでセットして、職員とのやり取りをなくしていく支援方針に切り替えました。

人が手伝うのでなく、環境を変えて、どの服を着ればいいか分かるようにする、という方法ですね。すると、すんなりと一人で着てくれるようになりました。

私たち支援者にとって知識と経験がつながったと実感できる成功体験となりました。また、ご本人にとっても理解しやすい環境が整いました。生活がスムーズに進むようになったことが本当によかったと感じられる瞬間でした。

 

人との関わりの少ない支援をはじめて見た人からすると、一見、冷たい印象を受けるかもしれません。しかし、システマティックにした方が自閉症の方には分かりやすく暮らしやすくなるという事実について、実践を通して確認することができました。

「どこをサポートして、どこの行動は主体性に任せるか」

この仕事においてよく考えないといけない大切な部分なのだと思います。

 

 

 

【「話しやすく学べること」と、「利用者様の個性」が友セカンドの魅力】

 

--職場の雰囲気はどうですか?

 

永田:SHIPは全体的に、勉強熱心な人が多いです。内部研修など学びの機会が充実しているので、障害特性や支援技法のスキルUPを目指す人にはとても魅力的な職場だと思います。私もそんな環境の中で日々勉強中です。

友セカンドのサービス管理責任者の妹尾さんはよく話を聞いてくれる人です。そんな人柄もあって和やかな雰囲気で、相談や意見を出しやすい職場だと感じています。

職場における業務上の指示など、うまく伝わるか、指示通りやってもらえるか、といった課題は、結局のところ根本的な人間関係が影響してくる、ということを実感しています。

心理的安全性みたいなことを最近よく聞きますけど、それがあると離職率も減り、仕事のパフォーマンスも上がってくると思います。

スタッフの皆さんはパート職員も含めてとても人柄がよく、献身的に仕事をしてくれるので本当に助かっています。

 

 

また、友セカンドは利用者様も魅力的な人ばかりです。平均年齢は20代前半と若く、それぞれが唯一無二の個性的な魅力をはなっていて、それが友セカンド自体の魅力につながっていると思います。

重めの知的障害と自閉症を併せ持つ方がほとんどなので、衝動的な行動に出ることもあり、支援者である私たちはよく翻弄されています。

そういった行動だけにフォーカスすると突飛に見えてしまいますが、背景には必ず原因や目的を含んでいるので、どんな行動も「ご本人たちからのメッセージ」だと思って、じっくり観察しながら想いを汲み取れるように意識しています。

そうすると言葉をもたない人たちとも、いろんな形によるコミュニケーションが成立するようになります。

お互いに「伝わった感じ」を味わえたときには、なんともいえない嬉しさを感じられます。この仕事の醍醐味かと思っています。

 

 

 

--今後の目標、課題を教えてください。

 

永田:今後はもっと障害がある人の社会参加や社会的認知が進んでほしいと思っています。そのために自分に役に立てることがあるなら、とても嬉しいことです。

友セカンドのように、障害支援区分5~6という重めな方を対象とするグループホームが地域にあるということ自体に価値があると思います。

※障害支援区分・・・支援サービスの必要度合いの目安。区分1~6。一番支援の度合いが低いのは1で6に近づくにつれて高くなる仕組み。

 

これからさらに、いろんな形で重度の障害のある方々と、そして世の中の人たちとの接点を増やせたらいいなぁと考えています。

そのために自分ができることとしては、友セカンドのホームページやブログで発信していくことがひとつと、地域の人たちとの直接的な関わりの促進もやっていきたいなぁ・・・と、何となくですが思い描いています。

友セカンドの利用者様のような人たちは、きっと世の中の人たちに新しい気づきや価値観を与えられる人たちだと思っています。

 

事業所としての課題は、まずは人員不足ですね。オープン以来(2019年8月)、職員の人員が安定しない中でやってきましたので、これからは、ぜひ、やる気のあるスタッフに入ってきてほしいです。新人職員の皆さんには、わたしが主任として出来る限りのサポートをしていきたいと考えています。

あと、この1年で痛感したことは『危機管理の強化』です。新型コロナウイルスのような生活の根本を脅かす感染症や災害等への対策、日常的な事故防止、安全面の強化、利用者様への権利擁護の意識、医療との連携など、テーマをあげればきりがないのですが、職員間で協力して進めていきたいと思っています。

 

 

 

--内部研修について教えてください。

 

永田:今年度(2022年)に入ってからは、毎月1回、正社員を対象に内部研修が開催されています。

自閉症の障害特性を学んだり、それをもとにちょっとしたグループワークをしたり、実際の利用者様の行動に当てはめながらみんなで切磋琢磨しています。

パート職員向けの研修もありますが毎月はできていないので、これからは内容や頻度をもう少し充実させていきたいですね。

人員不足の問題もあり、特に最初の1~2年は、現場で利用者様の生活を回すことに注力してきました。そのため、パート職員の皆さんと支援についてじっくり話す時間が取れませんでした。

でも、昨年度末より正職員の採用を進めているので、これからはチームによる支援の底上げを具体的に形にしていきたいです。

根本的なSHIPの理念、事業所の理念、支援の考え方の土台になる部分から、共有して浸透していけるようにと考えています。

 

 

--今後のキャリアップ、他の事業所への異動などは考えていますか?

 

永田:私の場合は純粋に利用者様に興味を惹かれている人間なので、少しでも支援現場に携わっていたいです。

実際に目の前の利用者様の役に立っていることを実感しながら長くやっていけたらと思っています。

SHIPでは、今後もグループホームの開設を定期的に進めていくと思うので、チャンスがあれば新しいところでも友セカンドでの経験を活かしていけたらとも考えています。

また資格サポート制度を利用して、精神保健福祉士などの新しい資格も取れたらいいなぁ・・・という気持ちはあります。

 

 

 

【興味を持てる方には飛び込んでほしい!】

 

--どんな人と働きたいか、どんな人がSHIPに向いていると思うか教えてください。

 

永田:まず、福祉の経験や資格はなくても大丈夫だと思います。興味が持てるかどうかの方か大事でしょう。

あとは柔軟な考え方ができる人とか、価値観の違いを面白いと感じられる人は向いていると思いますし、いっしょに働きたいですね。

逆に、自分なりの正解にこだわってしまうと難しいかもしれません。あくまでも主役はサービスを利用する側なので、一歩引いた目線が必要だと感じています。

 

 

--最後に、福祉で長く働くためにはなにが必要と思うか教えてください。

 

永田:今日とか明日とかで考えずに、気長に考えられるといいかなと思います。

福祉サービスは、支援者側が一方的に何かを成し遂げる仕事ではないので、今日をがむしゃらにがんばったからといって、いい結果が出るというものではありません。

あくまでも利用する人のためのツールの一つとして目の前の人の役に立っていく、社会資源の一部として存在していくような心構えの方がうまくいくように思います。

だれにでも得意なことと苦手なことがあります。私も苦手なことだらけですが、何とかやっていけているので興味を持ってくれた方はぜひ臆せずに飛び込んでほしいです。

 

 

 


 

永田さん、ありがとうございました。

SHIPの理念に沿っての支援を考え、実践されている様子が伝わって来ました!

主任としてもこんな職員の人が現場にいてくれて本当に頼もしい!と思いました。

これからの活躍も期待しています!