『MITI』:”動機づけ面接法” がどれくらい上手くできているか?

はじめに
このブログはメチャクチャ長いです。そして、随所に登場するフレンチブルドッグの写真は本文とまったく関係ありません。

さて、SHIPにて個人的にすすめている『動機づけ面接法を広める会』ですが、こちらを広めている目的はクライエントへの『サービスの質向上』はもちろんですが、スタッフの『バーンアウト予防』にこそ強い想いがあります。

動機づけ面接法を一緒に学んだ人たちの感想で圧倒的に多いのは「支援することが楽になった」という声です。

人は他人の悩みの種をいつの間にか自分のものと錯覚してしまう生き物なのだと思います。スキルを学んでいないと「寄り添わないと… 」「気持ちを理解しないと…」「 解決してあげないと…  」という思考になりがちです。

スキルを学ぶと「価値観を知りたい」「変わり方の言語化を手伝いたい」「変化と成長を応援したい」という思考になってきます。バウンダリー(こころの境界線)が明確になってくる感覚のことを「支援することが楽になった」と表現しているのだと思います。

 


<MI(動機づけ面接法)との出会い>

わたしが動機づけ面接法(以下、MI)と出会ったのは10年ほど前のことでした。当時は、アディクションや境界性パーソナリティー障害のクライエントの対応に苦慮しておりまして、いわゆる相手の想定を超える感情や行動にのみ込まれ疲弊していました。

当時のわたしには拠り所となるものが日本体育大学で培った努力と根性以外にはなく、それが音を立てて崩れかけている時期だったのでダークサイドに落ちる寸前でした。

その時、アディクションへの支援方法を調べていたところ『動機づけ面接法 実践入門「あらゆる医療現場で応用するために』という本にたまたま出会いました。読書が苦手なわたしですが、なんとなく購入して、なんとなく読み進めるうちにハマってしまいました。

スキルの一つひとつを実践してみると確実によい反応が返ってきます。MIでは、質問・傾聴・情報提供のコミュニケーション技術を順に学んでいくのですが、全ページを実践しおわった頃にはやはり「支援することが楽になった」という感覚をもちました。

この感覚がもてると救われるスタッフは多いはず!との想いから、もう勝手にMIを広めるしかないと考えて、パートナーを増やしていく作業をくり返しました。

 

 


<MITI(動機づけ面接法治療整合性尺度)を学ぼうと思ってます>

現在、SHIPではMIのスキルをつかって支援を進めているスタッフがかなり増えてきている印象です。一方、たかだか10回程度の研修提供でスキルがしっかり身についているかは心配です。

そこで、今後、スーパービジョンやコンサルテーションを進めるにあたって、なにか有効な手立てはないかと探していたところ『MITI(動機づけ面接法治療整合性尺度)』(以下、MITI)と出会えたので、せっかくだからこのブログを通してまとめあげてみようと思います。

ちなみに、MITIは「マイティー」と呼ぶのだそうです。

以下、ほぼ論文等の引用になりますが、書けば覚えるのでホントにただ自分のためにやっていることです。極力自分にとって分かりやすいように編集していきたいと思います。(引用/参考にさせていただいた論文等は一番最後に表記させていただきます)

 


<①、MITI  の目的>

ある支援者がどれだけ上手に、あるいは下手に、動機づけ面接法を行っているのか?

MITIはこれらへの答えを出すための行動コード化システムであり、動機づけ面接法の実践を通じたスキル向上に向けたフィードバックとして活用することが目的です。

 

 


<②、MITI  の構成>

〇 MITIは、『総合評価』と『行動評価』の二つから構成されている。

〇 総合評価は、全体の相互評価を特徴づけるリッカート式5点尺度にて評価する。

〇 総合評価は、5つの包括的な次元(喚起、協力、自律/サポート、方向づけ、共感)を評価する。

〇 行動評価は、総合評価とは違い質や適切さの判断はせず、ただ数えるのみのカウントをする。

〇 総合評価・行動カウントは、1回のテープレビューで行われ、無作為に選ばれた20分間の部分が使われる。

〇 評価に熟達するまでは、テープを2回聞くようにしてよい。1回目は総合評価、2回目は行動評価。

 


<③、ターゲット行動の特定>

〇 熟練したカウンセラーは、特定の変化についてのクライエントのチェンジトークを強化して引き出すよう努力する。

〇 評価者は、コード化の仕事の前にそれがあると仮定して、なにが介入の標的となる行動であるかを知っておくべき。

〇 評価者は、カウンセラーが目標の行動に向かって介入できているか否かを正確に判断する。

〇 とにかくMITIは、標的となる行動のはっきりしない介入に使用するために作られていない。

 


<④、総合評価の詳細>

〇 総合評価は尺度の意図にカウンセラーがどれだけ上手くあるいは下手に合致しているか全体的な印象をとらえることを目指している。

〇 総合評価はカウンセラーの全体の評価を反映すべきであり、必ずしも個々の要素には分けられない。

〇 総合評価は5点法リッカートスケールに基づいてなされ、開始の点を3点と想定して、そこから上げたり下げたりする。

 


<⑤、5つの包括的な次元(喚起、協力、自律/サポート、方向づけ、共感)の評価)>

⑤-1,喚起

この尺度はカウンセラーが変化への動機づけ、そして変化へ向かう能力はほとんどクライエントの中に備わっていることを理解していることを伝え、またそれゆえに治療相互作用の中でそれらを引き出し発展させる努力に集中する程度を図ることを意図している。

 

 

<アンカーポイント> 評点をつける際のポイント

1点)カウンセラーはクライエントの知識や努力、動機づけを探ることなしに、変化への理由や変化についての教育を積極的に与える。

・目標とする行動についてのクライエントの発言を無視したり誤解したりする
・クライエントが前もって知識があることを示しているのに、頑なに教育を与える
・クライエントらしさに対応しないような決まった質問リストを使う
・クライエントの貢献を退け無視する
・クライエントの状況についての好奇心の欠如
・クライエントを説得して変化させようとする

2点)カウンセラーは教育と情報提供に頼り、クライエントの個人的な動機づけや考えを犠牲にする。

・変化への話し合いの中にクライエントの貢献を組み入れない
・クライエントのチェンジトークに応じることへの曖昧なあるいは不完全な努力
・クライエントの見解や状況への軽度のあるいは表面的な関心

3点)カウンセラーはクライエント自身の変化やどのように変化が起こるべきかの理由づけに特に興味や気づきを示さない。クライエントの状況に合せることなしに情報や教育を提供するかもしれない。

・患者の変化への動機づけを調べる機会を逃す(たとえば過去の成功体験を話し合う機会など)
・クライエントの見方や状況について中立的
・クライエントのチェンジトークに対して時どき応じる

4点)カウンセラーは相互作用の中でクライエント自身の変化への理由や変化がどのようにおこるべきかについての意見が提供された時は、それらを受け入れる。クライエントが抵抗したときでも、教育や指示しようとは試みない。

・クライエントの変化や動機づけについての考えが面接の方向づけを与えるのを許す
・クライエントの変化の理由が出された時、額面通りに認める。しかし引き出したり練り上げたりはしない
・チェンジトークが生じた時は、一貫して聞き返しや詳しい質問や興味で応じる

5点)カウンセラーはクライエント自身の変化の理由やどのように変化が起こるべきかについての考えを喚起するように進んで働く。

・クライエントの考えや経験(とくに目標行動についての)に興味を示す
・クライエント自身が話して変化するよう助ける
・構造化された治療的課題をチェンジトークを強化したり引き出す方法として使う
・クライエントが変化の理由を提供した時はより深く探る機会を見逃さない
・面接に方向づけを与えるためにクライエントの変化に対する考えや動機づけを探す
・戦略的にチェンジトークを引き出しそれが提供された時には一貫して応じる

 


⑤-2,協力

この尺度は二人の平等な、そのどちらもが考慮中の問題に有益であるかもしれない知識を持っているパートナーの間で面接が起こっているようにカウンセラーがふるまう程度を測る。

 

<アンカーポイント> 評点をつける際のポイント

1点)カウンセラーはクライエントとの相互作用の大部分で専門家の役割を積極的に引き受ける。協力は欠如している。

・明白に専門家の役割をとる
・クライエントの考えを否定したり軽視したりする
・会話を支配する
・クライエントが違う方法を出した時に議論する
・受動的、壁がある、または素っ気ない

2点)カウンセラーは協力を挫く(くじく)。または機会に表面的に応じる。

・専門家の役割を捨てることが難しい
・クライエントの情報に対する表面的な質問
・専門知識を与えることを好んで相互的な問題解決の機会をしばしば犠牲にする
・クライエントの情報への最小限の応答
・クライエントに当惑する。またはイライラする

3点)クライエントの目標、考えや価値観を組み込むが、熱意のないあるいは気まぐれなやり方でそうする。面接へのクライエントの貢献を深める機会に気づかなかったり無視したりするかもしれない。

・協力の機会を利用するかもしれないが、それを喚起するように相互作用を構造化することはない
・いくらかクライエントの話しにつながった応答。しかし表面的である
・ほとんどの場合、議論で争うことはないが、同意しないこともある
・専門知識を与えることを好んで相互的な問題解決の機会をときに犠牲にする

4点)カウンセラーは協力と議論の共有を助長する。そうしなければ出なかったようなクライエントの考えが、セッションに影響を与える。

・クライエントの情報を得るためのセッションのいくらかの構造化
・クライエントの意見を強く求める
・問題解決にクライエントを従事させる
・クライエントの準備ができていなければ解決に固執しない

5点)カウンセラーはクライエントの考えが、実質的にセッションの結果に影響するようなやり方で、相互作用における議論の共有を積極的に助長し奨励する。

・クライエントからの情報提供を促進するようなやり方でセッションを積極的に構造化する
・クライエントの考えを尋ねる
・クライエントの示唆を組み込む
・クライエントからの情報提供を積極的に掘り起こす
・クライエントを明白に専門家とみなす
・クライエントからの情報提供に応じて助言や専門知識をさじ加減する

 


⑤-3,自律/サポート

この尺度は、カウンセラーがクライエントの行動や選択をコントロールする試みと、反対にクライエントが選択を認識するのをサポートし、積極的に促進する程度を伝えることを意図している。自律尺度のスコアは特定の行動を回避することと自律やサポートを促進する戦略を先取りして追求することを含む。

 

<アンカーポイント> 評点をつける際のポイント

1点)カウンセラーはクライエントの選択権の認識を積極的に軽んじたり否定する。

・クライエントには選択権がないとあからさまに述べる
・外的な影響が選択権を奪うとほのめかす
・他の選択を探るのに悲観的、冷笑的、皮肉である
・別の選択について頑なである

2点)カウンセラーはクライエントの選択権の認識を妨げる。または表面的に答える。

・クライエントによって選択権についての話題が出た時に詳しく聞いたり注意を払ったりしない
・クライエントの選択権を軽視し、または表面的に扱う
・選択権についての話題を認めたあとに放棄する
・クライエントの選択について討論する時の誠実さの欠如
・クライエントが選択権を持ち出した時に積極的にそれを無視する

3点)カウンセラーはクライエントの自律と選択に関して中立である。

・選択を否定しないがそれを積極的に確固としたものにする努力はほとんどしない
・面接中、選択権の話題を持ち出さない

4点)カウンセラーはクライエントの自律を受け入れサポートする。

・クライエントの別の選択を誠実に探る
・クライエントが自分は無理やり変えられることはできないと述べた時に同意する

5点)カウンセラーはクライエントが自分のコントロールと選択の経験を著しく拡大できるようなやり方で、クライエントの自律の表現の感情と意味に言葉を付け加える。

・カウンセラーはクライエントの目標行動についての選択権をより自覚することにつながるようなコメントを引き出すことに積極的である
・真に誠実で独占欲のない態度で別の選択を探る
・クライエントが変化しないという選択を皮肉なしに明白に認める
・クライエントが最初の試みに答えない場合、クライエントの別の選択とコントロールの能力について話し合う多様な機会を与える
・クライエントの変化や動機づけについての考えに信頼をおく

 


⑤-4,方向づけ

この尺度は、カウンセラーが特定の目標行動やそれに直接結び付く事柄に適切な集中を維持する程度を測定する。他の総合評価と違い、この尺度の評価が高いことはMIが上手であることを必ずしも意味しない。この評価が高くても、MIを上手く使えないカウンセラーは存在する。

 

 

<アンカーポイント> 評点をつける際のポイント

1点)カウンセラーはセッションの話題や進路に影響を及ぼさず目標行動の議論は完全にクライエントの手中にある。

・セッションを構造化することに失敗する
・セッションのほとんど全体が現在の問題にほとんど無関係な話題に焦点づけられている
・カウンセラーはクライエントのせっかく、子ども時代や過去のトラウマに話を焦点づけ、目標行動には表面的な注意しか払わない
・カウンセラーは非指示的、クライエント中心の傾聴に従事する
・クライエントがいろいろな方向づけにさまようのに受動的に従う
・目標行動は延べられない。またはセッションから推定できない

2点)カウンセラーはセッションに最小限の影響しか及ぼさず、目標行動にクライエントを方向づけるほとんどの機会を逃す。

・いくらかの構造は与えるが、セッションは最初に明示した意図からは大きく逸れる
・目標行動についてのいくらか話し合う。しかしセッションの大部分は他の話題に費やされる
・カウンセラーはクライエントの話しを目標行動に結びつけようと表面的にしか試みない
・セッションのほとんどは目標行動の考慮に向けた選択的な強化の証拠のない、非指示的なクライエント中心の傾聴に費やされる

3点)カウンセラーはセッションにいくらかの影響を及ぼす。しかし目標行動への焦点づけからたやすく逸れてしまう。

・カウンセラーはセッションにいくらかの構造を与えるが、それをフォローアップし続けることについては一貫性がない
・カウンセラーは目標行動についてのクライエントの話しにいくらかの選択的な強化を与えるが、一貫性がない。
・カウンセラーは進んで目標行動を持ち出すが容易に逸らされる。
・カウンセラーはセッションの実質的な部分を目標から離れた議論に焦点づける
・セッションの大半の時間は現在や未来よりも過去を話し合ううことに費やされる

4点)カウンセラーは一般的に目標行動に向けてセッションの方向づけに影響を及ぼすことができる。しかしながらカウンセラーが再方向づけしようとせずに長く脱線するような会話もあるかもしれない。

・カウンセラーはセッション中に明示されたプランを使うよう、ある程度努める
・目標行動は明らかであるが、カウンセラーはそれに注意を焦点づけするかどうか不確かのように見える
・カウンセラーはクライエントによって目標行動から容易に逸脱させられる
・カウンセラーは一度脱線すると会話を目標行動に向けるいくつかの機会を逃す

5点)カウンセラーはセッションに影響力を及ぼし、一般的に目標行動や関連する質問に向けてクライエントを方向づけする機会を逃さない。

・目標行動に言及するアジェンダ設定
・カウンセラーは目標行動についての関心が明らかである
・カウンセラーは時間を上手く管理し、治療課題の間をスムーズに移ってゆく
・カウンセラーは一貫してスムーズにクライエントの話しを目標行動に向けて方向づけする
・セッションの大半の時間は問題の歴史についてよりも、可能な変化を話し合うことに費やされる
・カウンセラーはセッションを支配しクライエントが目標行動から逸脱するのを許さない

 


⑤-5,共感

この尺度は、カウンセラーがクライエントの視点や気持ちを理解する。またはとらえようと努力する程度を測る。文字通り、カウンセラーがどれだけクライエントが奥深く何を感じているかについて “試掘” しようと試みるかどうかを示す。共感は暖かさ、受容、率直さやクライエントに対する弁護や用語と混同されてはいけない。これらは共感の評価とは独立している。聞き返しはこの特徴の重要な部分である。しかしこの全体的な評価はカウンセラーがクライエントの視点を理解しようとし、またその理解をクライエントに伝えようとするすべての努力をとらえることを意図している。

 

 

<アンカーポイント> 評点をつける際のポイント

1点)カウンセラーはクライエントの世界観に興味を示さない。クライエントの視点にほとんどまたは全く注意を払わない

・情報を求める質問だけする(しばしば隠れた意図を持って
・クライエントの視点を理解しようと試みることなく事実の情報のみ探る

2点)カウンセラーはクライエントの視点を探る挑発的な努力をする。カウンセラーの理解は不正確またはクライエントの本当の意味から逸脱しているかもしれない。

・カウンセラーは聞き返すがクライエントの言ったことを間違って解釈する
・クライエントを理解しようとするカウンセラーの努力が上っ面で終わっている。

3点)カウンセラーはクライエントの視点を理解しようと積極的に試み、ある程度成功する。

・カウンセラーはクライエントに平均的な共感を示す
・カウンセラーは少数の性格な聞き返しを行うが、クライエントの言いたいことを逃すかもしれない
・カウンセラーはセッションの間中、ずっとクライエントの意味するところを捉えようと試みるが、そこそこうまくいく程度にとどまる。

4点)カウンセラーはクライエントの世界観の性格な理解の証拠を示す。クライエントの視点を理解しようとsうる積極的で反復的な努力を行う。理解は大部分明らかに表れた内容に限られる。

・カウンセラーはクライエントのセッション中に言ったことを超えるレベルの理解を効果的に伝える
・カウンセラーはクライエントが言ったことに正確な聞き返しを行う
・買うんsラーはクライエントの視点の理解を効果的に伝える

5点)カウンセラーはクライエントの視点の深い理解の証拠を示す(明白に言明されたことだけでなく、クライエントが意味しているが言わなかったことについても)

・カウンセラーはクライエントがセッション中に言ったことを超えるレベルの理解を効果的に伝える
・クライエントの視点や状況に強い関心を示す
・買うんsラーが自分自身をクライエントの立場に身を置いて、理解しようとする。
・しばしばクライエントに単に話に追従するのに必要な事柄以上に、より詳しく述べるようしばしば励ます
・多くの正確で複雑な聞き返しを使う

 

 


<⑥、行動カウント>

行動カウントは(全体的な印象を捉えようと企てるというよりもむしろ)一般的にカテゴリー化と判定の法則の結果、決定される。推論によって行動カウントを決定することは避ける。

 

⑥-1、カウンセラーの発話を行動カウントに割り当てるために解析する

・一つの発話を一つの完結した思考と定義する。一つの思考が完了した時、一つの会話が終わる。新たな考えが紹介された時、一つの新しい発話が始まる。
・このように一つの考えの発話が完結した単位を『発話1』、次の新たな考えの発話が完結した単位を『発話2』として区切り、行動コードを割り当てていくようにする。
・なお、同一の発話に対して『一つの行動コード』が割り当てられたら、その部分に他の行動コードが割り当てられることはない。

 


⑥-2、行動コード

1,情報提供

このカテゴリーは、カウンセラーが情報提供、教育、フィードバックの提供、個人的情報の開示を行う時に使用する。情報提供には下位コードは割り当てられない。

 

1a、評価手段に基づいてフィードバックを提供する

・例文)糖尿病に関する血液検査の結果ですがHba1cのデータは7.2でした。Hba1cのデータからは過去1-2ヶ月間の血液中のブドウ糖の量が分かります。正常が5.6%未満、要注意が5.6~5.9%、糖尿病の可能性ありが6.0~6.4%、糖尿病の強い疑いありが6.5%以上で、あなたは糖尿病の強い疑いがある位置におります。

1b、まだクライエントが聞かされていないクライエントに関する個人的なフィードバック

・例文)わたしがあなたの奥さまとお話をしたとき、彼女はあなたのストレスと暴飲暴食について本当に心配していると言っていました。

1c、介入に関連した考えや概念の説明

・例文)あなたの “お菓子を食べたい” という渇望を記録するというホームワークは重要です。なぜなら研究の結果からも渇望がしばしば病気の再発につながることが分かっているからです。つまり渇望はあなたに「違うことをしましょう」と教えている警告ベルのようなものです。

1d、話題に関する教育

・例文)果物や野菜を毎日摂る人は、癌のリスクが5倍減少します。とくに大腸がんなどある種の癌ではもっとリスクが減少します。

 

※注意

情報提供をMI不一致行動とは鑑別すること。(アドバイス、警告、直面化、方向づけ、と混同されてはならない)

・MI不一致)糖尿病に関する血液検査の結果ですがHba1cのデータは7.2でした。これは社会的にみて逸脱している食生活です

・方向づけ)この記録表を使ってあなたのお菓子への渇望を記録してください。そして来週わたしと一緒にレビューするために持ってきてください。

・直面化)野菜を12品目食べたとおっしゃいましたが、記録表によると5品目程度しか食べていませんね。自分を誤魔化しすことは簡単です。

・アドバイス)それは私にも役立ちましたし、もしあなたが試しにやってみるならあなたにも役立つでしょう。あなたはまだよい栄養指導員を探せていないだけです。

 


2,質問

 

2a、閉じられた質問

この行動コードは、カウンセラーがクライエントに「はい」「いいえ」で答えられる質問をする時に使われる。
※非常に限定された範囲の質問や質問票を埋めるような質問もこの行動コードが割り当てられる。

・今週はお酒を飲みましたか?
・今週は12品目の野菜を摂りましたか?
・記憶に関してお困りのことはありましたか?
・どれくらい前からお酒を飲んでいますか?
・今週に食べた野菜を3つ教えてください。
・日本の総理大臣は誰ですか?

2b、開かれた質問

開かれた質問はカウンセラーが広範囲の答えを可能とする質問をする時に割り当てられる行動コードである。この質問は情報を求めたり、クライエントの視点を招いたり、自己探索を奨励するかもしれず、質問者が驚くような答えの選択を可能とする。
※「もっと話してください」という陳述は、明らかに『方向づけ』または『直面化』のコードを示すトーンと文脈でなければ『開かれた質問』に割り当てられる。
※クライエントが答える前の質問の連続は、一つの質問としてコードされて割り当てられる。

・私たちが最後に会ってから現在に至るまで、あなたのお酒への渇望はどのような具合でしたか?
・今週の食生活について話してみてください。
・それについてのあなたの見解はいかがですか?

2c、聞き返しをしようとする質問

語尾の抑揚のために『聞き返し』が『質問』のように聞こえる陳述がある。この場合は次項の『聞き返し』の基準に合うように感じても『質問(開かれた・閉じられた)』として割り当てられる。

 


3,聞き返し

このカテゴリーはクライエントの陳述に応じてカウンセラーが行なった聞き返しを捉えることを意図している。聞き返しは材料に新たな意味を導入するかもしれない。しかし本質的には、それはクライエントが今言ったことについてなにかを捉えてクライエントに返す。聞き返しはさらに単純な聞き返しと、複雑な聞き返しにカテゴリー化されなければならない。

 

3a、単純な聞き返し

単純な聞き返しは、典型的にはカウンセラー/クライエントのやりとりの理解を伝え促進する。これら聞き返しはクライエントが言ったことに意味や強調を付け加えないか、ほとんど付け加えない。単純な聞き返しは、クライエントの重要なあるいは強烈な感情に注意するが、クライエントのもともとの意図や陳述から遠く離れてゆかない。カウンセラーによるいくつかのクライエントの陳述の要約は、カウンセラーが追加点や方向づけを加えるために使うのでなければ『単純な聞き返し』に割り当てられる。

3b、複雑な聞き返し

複雑な聞き返しは、典型的には実質的な意味や強調をクライエントが言ったことに加える。これらの聞き返しはクライエントが言ったことのより深い、また複雑な描写を伝える目的に役立つ。時にカウンセラーは協調したり会話を違った方向づけに向けるために、クライエントが言ったことの特定の部分を強調することを選択するかもしれない。カウンセラーは絶妙な、または明白な内容をクライエントの言葉に付け加えたり、複雑な性質の要約を形作るためにクライエントの陳述を組み合わせてもよい。

・例:スピード違反切符
cl:これで彼女のスピード違反切符はこの3ヶ月で3回目です。免許取り消しになるでしょう。私たち家族は交通手段を失ってしまいます。彼女は車のない生活が家族にとってどんな影響を与えるのか分からないのでしょうか?
co:あなたはそのことでひどく立腹されているのですね(単純な聞き返し)
co:もう我慢の限界なのですね(複雑な聞き返し)

・例:血糖コントロール
co:血糖値に問題があります。血糖コントロールの方法についてどんなふうに説明されますか?(開かれた質問)
cl:冗談でしょ? 授業も受けたし、ビデオも見たし、訪問看護も来ました。血糖コントロールをどう上手くやるかについてのあらゆるアドバイスを受けました。もう実行する気がおきません。なぜだか分かりません。おそらく私には死への願望か何かがあるのでしょうね?
co:あなたはそのことで非常に落胆しているのですね(単純な聞き返し)
co:あなたはやるべきことをまだ全てやったというわけではないのですね(複雑な聞き返し)

・例:母の一人暮らし
cl:母は私をイラつかせます。一人暮らしのままがいいと言いながら、つまらない質問で1日4回も電話してきます。そして私がアドバイスをすると怒るのです。
co:お母さんとの状況は非常にストレスフルなものですね(単純な聞き返し)
co:あなたはお母さんが本当は何を欲しているのかを理解することに苦労しているのですね(複雑な聞き返し)

3c、判断基準

評価者が単純な聞き返しか、複雑な聞き返しか、区別できない時は、『単純な聞き返し』として割り当てる。

3d、連続した聞き返しと質問

時にはカウンセラーは、聞き返しで始めて聞き返しの信頼性を “チェック” するために質問を加える。この場合は両方の要素が割り当てられるべきである。

・それであなたはお酒はもう二度と飲まないと決めた。それで合っていますか?(聞き返し、閉じられた質問)
・あなたの上司があなたはもう残業できないと言った。それをどう思いますか?(聞き返し、開かれた質問)

3e、質問に変わった聞き返し

語尾の抑揚のために『聞き返し』が『質問』のように聞こえる陳述がある。この場合は次項の『聞き返し』の基準に合うように感じても『質問(開かれた・閉じられた)』として割り当てられる。(2c参照)

 


4,MI一致

このカテゴリーは動機づけ面接アプローチと一致する特定のカウンセラーの行動を捉えるのに使われる。評価者はたとえカウンセラーの発言が真に “適合” していなくとも、MIとして良い例になっているのであれば、これらのカテゴリーの1つに割り当てたいという誘惑にかられるかもしれない。そうではなく、評価者は、MI一致行動は決められた行動のみに付与するようにして、左記のような例は総合評価の全体的な評価の中で適切とみなすべきである。MI一致カテゴリーは下記からなる。

 

4a、アドバイスや情報を与える前に許可を求める。あるいはクライエントが話題について何を既に知っているか、あるいは何を今までに聞かされてきたかをアドバイスや情報を与える前に尋ねる。クライエントから直接に情報やアドバイスを求めてきた時も、クライエントからの許可が含まれている。カウンセラーがクライエントに対してアドバイスを与えながら、それを無視しても良いと伝える場合も間接的に許可を求めていることになる。

・大腸がんのリスクをどう減らすかということについて、私はいくらか情報を持っています。それについてあなたと話し合って構いませんか?(MI一致)
・妊娠中の飲酒について何かすでに聞いていますか?(MI一致)
・これはあなたに当てはまらないかもしれませんが、私のクライエントの中に、昼食後2時間に血糖値をチェックするのを思い出せるように腕時計のアラームをセットし、それでうまくいった人がいました(MI一致)

4b、クライエントを是認する。なにかポジティブなことや称賛を言う。是認は、目標行動に単純には関連しないような、どんな分野においてでもクライエントの長所、能力や努力について意見を言うカタチをとってもよい。※アドバイスの前に許可が求められている時には、MI不一致コードはそれに続くアドバイスにつけられない。その発話の全体がMI一致に割り当てられる。

・あなたは一度決心したら大抵やり遂げる。そんな種類の人間です(MI一致)
・あなたにとっていい親であることが重要です。あなたの両親があなたにとってそうであったように(MI一致)

4c、クライエントのコントロール、選択の自由、自律、決定能力の協調

・ええ、あなたは正しいです。誰もあなたの飲酒を無理に止めさせることはできません(MI一致)
・あなたはここであなた自身のことを一番知っている人間です。あなたはこの治療プランに何が盛り込まれるべきだと考えますか?(MI一致)
・あなたが食べるのに選ぶ果物と野菜の数は、全くもってあなた次第です(MI一致)
・あなたの言うことには一理あります(MI一致)

4d、クライエントをサポートする。思いやりや同情の発言で。

・駐車場のことや雨降りののことやらで、ここまでやってくるのは大変なことだったでしょう(MI一致)
・飲酒をやめることは非常に難しいことだと知っています(MI一致)
・なるほど。今のあなたにはもう抱えきれないほど、色々なことが起こっているのですね(MI一致)

4e、判断基準:MI一致コードは、発話がMI一致カテゴリーに明らかに分類されるときにつける。疑わしい時には違うコード(たとえば、開かれた質問 や 聞き返し)が割り当てられるべきである。

 


5,MI不一致

このカテゴリーはカウンセラーの動機づけ面接のアプローチと一致しない行動を捉えるのに使われる。不一致行動には下位コードは割り当てられない。評価者はただそれらにMI不一致コードを割り当てるだけである。

 

5a、許可なしのアドバイス。最初にクライエントの許可を得ずに提案。解決法や可能な行動を提供することによる言語はいつもとは限らないが、通常このような言葉を含む。「べきである」「なぜ~しないのですか」「考慮して」「やってみて」「提案する」「助言する」「~はどうですか」「あなたは~できるかも」など。もしカウンセラーがアドバイスする前に直接的に、または間接的に最初に許可を得ていればコードは違ってくることに注意すること。

・友達に乗せてもらうよう試してみてはどうですか?(MI不一致)
・最初は1日に5回、血糖をチェックすることが一番いいです(MI不一致)
・それはあなたが思うほど悪くないかもしれないです。あなたが彼らのような人々に機会を与えれば、彼らはたいていの場合は丁寧ですよ(MI不一致)

5b、クライエントに直接的に、そして曖昧にではなく異議を唱え、論争し、訂正し、辱め、非難する、批判する、レッテルを貼る、教訓を与える、馬鹿にする、あるいはクライエントの正直さを問うことによって、クライエントに直面化する。そのような相互作用は不満や否定を伴った不公平な権力争いという性質をもつだろう。ここにはカウンセラーが質問やあるいは聞き返しを使うが、声の調子が明らかに直面化を示すような例も含まれる。すでに知られている、またはクライエントによって明かされた否定的な情報を言い換えることは直面化、または聞き返しのどちらにでもなりうる。大部分の直面化は声の調子と文脈に慎重な注意を払えば正しく割り当てることができる。

・あなたはノックビン(抗酒薬)を飲んでいたけれども結局飲酒をしたのですね?(MI不一致)
・ええ、あなたはアルコール依存症です。自分ではそう思わないかもしれないけれど、そうです(MI不一致)
・ちょっと待って。あなたのHba1cの値は12だとここに出ています。申し訳ないけれど、こんなに高いなら、あなたが自分でおっしゃったようにカロリー計算していたとは思えないです(MI不一致)

5c、指図する。命令や指示、励まし、報酬などによって、クライエントに指図すること。言葉は命令形。

・それをしてはダメです!(MI不一致)
・この宿題を来週持ってきなさい(MI不一致)
・あなたは90日間に90回ミーティングに行かなければなりません(MI不一致)

5d、判断基準:MI不一致こおーどは、発話が明らかにMI不一致カテゴリーにあてはまる時につける。疑わしい時は、その他のコード(たとえば、情報提供)が与えられるべきである。

・例)癇癪(かんしゃく)の話し合い
cl:うちの子の癇癪についてどううしたらいいと思いますか?  あなたは医者でしょ?
co:このことを自分で解決するのは無理だった。それでようやく他人の手助けを借りる気になったわけですね(MI不一致)
co:〔まはた〕あなたのお子さんは正常です。それは癇癪ではありません(MI不一致)

※注意

繰り返しになるが、評価者はMI不一致行動を下位分類することはしない。一度評価者がその行動を直面化または指示ときめたなら(またはこのカテゴリーの2つのどちらかに入ると決めたなら)、MI不一致コードを割り当てて進む。

 

 


<⑦、MITIのサマリースコア>

MI機能の重要な指標は頻度カウントで不完全にしかとらえられないため、多くの治療コードの応用には個々のコード自体よりむしろコードから計算されたサマリースコアを用いたほうがより役立つことが分かっている。(サマリースコアとは?:要点をまとめたスコアのこと)

たとえば、質問に対する『聞き返し』の比率は重要なMIプロセスの簡明な測定法を提供する。下記はMIの有能さを決定するためのアウトカム測定に役立つサマリースコアとそれらを計算する公式の部分的なリストである。

 

・包括的スピリット評価=(喚起+協力+自律/サポート)/3

・複雑な聞き返しのパーセンテージ(%CR))=Rc/聞き返しの合計

・開かれた質問のパーセンテージ(%OC)=OQ/(OQ+CQ)

・質問に対する聞き返しの比率(R:Q)=Total reflections/(CQ+OQ)

・MI一致のパーセント(%MiA)=MiA/(MiA+MiNa)

※R:聞き返し、Rc(複雑な聞き返し)、OQ:開かれた質問、CQ:閉じられた質問、MiA:MI準拠、MiNa:MI非準拠

 


<⑧、MITIのトレーニング戦略>

評価者をトレーニングし、評価者間信頼性とゴールドスタンダードとの合致率で測れる有能さに到達させるためには、普通、段階的な学習プロセスを必要とする。そのため、評価者がかなり単純な課題から始めて、単純な課題における有能さが確固としたものになった時のみ、もっと複雑な課題に進むのが最善である。

評価者がレベルⅡの課題を試みる前に、レベルⅠの課題を受け入れられる信頼性の基準まで学ぶことから始めることを勧める。ⅠとⅡの課題に対する受け入れられる基準が同時になし遂げられた時のみ、評価者はレベルⅢの課題を始めるべきである。

 

レベルⅠ:  能力(発話を分ける、情報提供と開かれた/閉じられた質問)

レベルⅡ: 能力(聞き返し、MiAとMiNaを追加)

レベルⅢ:能力(包括的評価を追加)

 

代表的な面接場面の口述筆記を事前にコード化しておき、それを標準トランスクリプト(台本)とすることによって、評価者の能力と改善すべき点を評価できるようになる。評価者はしばしばある一つの特定の領域において問題を示すことがあり、その場合、その領域に集中した訓練が必要である。問題の分野は標準トランスクリプトを各レベルのテストとして使うことで同定することができる。しばしば各レベルに1回より多くのテストが必要である。

評価者がMITI使用の評価者間信頼性に達するまで典型的に40時間のトレーニングを要することが分かっている。加えて、定期的(毎週)グループ評価セッションが、逸脱を起こさないよう保証するためにも必要である。

次項はMITIコード化システムに基づいて推奨されるカウンセラーの熟練度と能力の閾値である。これらの閾値は専門家の意見に基づいており、現在それらをサポートする基準あるいは他の妥当性を欠いていることには注意すること。(現段階では、改訂版MITIのために基準のデータを収集する過程にあるため)

 

 

※MITIコードのリスト

・喚起(喚起の全体評価)

・協力(協力の全体評価)

・自律/サポート(自律/サポートの全体評価)

・方向づけ(方向づけの全体評価)

・共感(共感の全体評価)

・スピリット(MIのスピリットの全体評価:喚起、協力、自律/サポートの平均)

・GI(情報提供)

・MiA(MI準拠)

・MiNa(MI非準拠)

・OQ(開かれた質問)

・CQ(閉じられた質問)

・Rs(聞き返し:単純)

・Rc(聞き返し:複雑)

 


<⑨、動機づけ面接法治療整合性尺度(MITI)コードシート>

 


<さいごに>

MITIを活用することで、動機づけ面接法を広める会の取り組みが順調に進んでいるかどうかを確認する道標ができそうだと思いました。

しかし、さいごに重要なことに気づいてしまいました。

今回のまとめは『MITI 第3.0版』のものでしたが、調べてみると現在では『MITI 第4.2版』が最新のようです・・・

いつもそうです。

私には、目の前に新しい刺激があると後先を考えずに飛びつく習性があります。

ただしポジティブに考えれば、この動機づけ面接法の治療整合性尺度の歴史をかなり深く知ることができました。

気持ちを切り替えて、今度は『MITI 第4.2版』の勉強をしていきたいと思います。

それでは。

アディオス・アミーゴ

 


引用/参考)

Motivational Interviewing Treatment Integrity Coding Manual 4.2.1
URL; MITI4_2-Japanese.pdf (unm.edu)

動機づ け面接治療整合性尺 度日本語版のトレーニングに関する予備的検討
URL; ja (jst.go.jp)

付録Ⅲ 動機づけ面接治療整合性尺度 第 3.0 版 日本語版
URL; ■方法としての動機づけ面接.indd (main.jp)