重度知的障害者支援の取り組み『支援をあきらめ騎士(ナイト)』にインタビュー

SHIPの新キャラクターである『支援をあきらめ騎士(ナイト)』にインタビューしました。

現在、YouTubeや求職者向けイベントなどで重度知的障害者の支援事例を中心に動画公開をしています。一度聞いたらくせになる語りの騎士(ナイト)は、普段は生活介護笑プラスで生活支援員をしている紙谷さんです。その名の通り、あきらめない支援を行っています。

大学の福祉学部を卒業後、地域活動支援センターで非常勤勤務をしたのち、SHIPの前身である特定非営利活動法人エスエスエスに入社。SHIPではサクレ江戸川エスプリドゥで働いたのち、2年前に生活介護笑プラスに異動しました。今年の5月から『支援をあきらめ騎士(ナイト)』として活動中です。

精神保健福祉士と社会福祉士の資格をお持ちです。


 

――『支援をあきらめ騎士(ナイト)』が生まれたきっかけや、目的を教えてください。

 

紙谷:もともと笑プラスのブログで支援の事例紹介を頻繁に上げていたのですが、それを見て理事の上田さん「動画もあると分かりやすいよね」と言ってくれたことが始まりです。

世の中により分かりやすい発信を増やしていくのが目的です。重度知的障害者のご家族ですとか、計画相談の方、あとは支援学校の方とか、笑プラスのような事業所を探してくれている皆さんに向けています。

ただ、個人的には、障害の関係者に限らず、興味を持ってくれているすべての皆さんにもと思います。これを見て障害に興味のない人にも興味を持ってもらえたらと考えています。

 

――なぜ「騎士(ナイト)」なのでしょうか。

 

紙谷:動画配信のために、ユーチューバー的なキャラを立てて分かりやすくしようと考えました。

キャラクターを作るときに、デザインをしてくれた原田さん(笑プラスのサービス責任者)などと「何が好きか」と話していて「騎士」が出ました。

ちなみに「魔法使い」という案もあったのですが、その枠はすでにエスプリ『構造化の魔術師』安藤さんで埋まっていたので。ついでに言うと「博士」枠は重度障害者支援のベテラン若林さんです。

「騎士」がいいねとなったところに、私の日々の支援や、色々講釈を考えている姿を見て「あきらめないで色々やってくれていますよね」と原田さんが言ってくれたのを聞いて、上田さんが「分かった、あきらめ騎士(ナイト)だ!」と言って決まりました。

 

 

――どういった活動をしているのでしょうか。

 

紙谷:5月に求職者向けのイベントで流す用の動画を撮って欲しいと言われたのが最初で、それから少しずつ動画を作成して、イベントや笑プラスのブログで紹介しています。YouTubeチャンネルも作成して、少しずつ動画の公開を増やしています。動画の内容は言語コミュニケーションの苦手な方の多い重度知的障害を持つ利用者様とのコミュニケーションとそのツールの紹介や、笑プラスの支援の事例紹介などです。

まだまだ始まったばかりですが、自分の体験談を交えてなるべく分かりやすい動画を多く作って、たくさんの人に「重度障害者支援の現場ではこんなことがあるんだ」と軽い感じで見てもらえたらと思っています。

 

 

――動画作成、投稿をやってみて感じたこと、大変なことなどを教えてください。

 

紙谷:動画配信は自分では初めてなのですが、やってみたら思ったよりできたなという感じです。まだ恥ずかしいですけどね。それと感じたのは、きっとユーチューバーの人たちは動画を撮り続けないといけないのだろうなということです。間隔が空くと、カメラの前でしゃべる感覚を忘れてしまうので、ネタがあればどんどん撮っておいた方がいいなと思います。

あとは、例えば1日動画を3本撮るとしたら、後ろの方が乗ってきますね。動画は休みの日に作っていますが、半分遊びながらという感覚なので、そこは特に大変ではないですね。

考えようによってはビデオを回してしゃべっているだけなので楽ですし、YouTubeに動画を上げるのもドラックするだけで、本当に簡単にできるんだなと思いました。

今後もやれる範囲で、楽しみながらやっていければと思います。

 

 

 

――今後の目標を教えてください。

 

紙谷:重度障害者支援の現場の話を、マイルドに伝えていきたいと思います。自分自身の重度支援の経験はたかだか2年くらいなのですが、伝えられることは伝えていこうと思っています。

というのは、重度障害者支援に限らず、サクレ江戸川でもエスプリドゥでもそうだったのですが、支援に関しての経験者からの言葉というのは、新卒や経験の浅い支援者には時に素直に入らないことがあると思うのです。

経験のある人がガツンと言うとそれが唯一の正解みたいになってしまい、もちろん経験に基づく意見なので、支援の中で利用者様の観察を続けていくと正しい意見だと分かるのですが、一方で経験の浅い支援者の支援を模索しようという意欲をそぐくらいで伝わっているように感じました。自分が考えても無駄だくらいに。現場の支援だと、事故になってしまうこともあるのできびしく伝えざるを得ないこともあるのですが。

だから、『支援をあきらめ騎士(ナイト)』の配信では、やわらかくあるいは自然に伝わっていくようにできるといいなと思います。

 

 

 

それと、より具体的な事例も配信していきたいですね。手続き上、いろいろと時間がかかるかもしれませんが、利用者様が写っている動画を配信できるといいなと思います。

今までブログや動画で紹介してきた事例でも、例えばレスリングはどのくらいの力で組み合っているかとか、早く帰りたくて準備しているところとか、実際に現場でガチャガチャやっている所を見てほしいですね。

利用者様が獲得してきた技術 ~力を抜く~ | 笑プラス (ship-emiplus.com)

帰りはまだだと伝えないと ~車に乗りたいBさんとCさん 思考の違い~ | 笑プラス (ship-emiplus.com)

普段目にしていない人にとっては面白いと思うし、重度障害者へのイメージが書き換えられるのではないかと思います。支援者だけでなく、利用者様自身の声も伝わりますからね。

というわけで、モザイク処理する方法を目下勉強中です。

勢いで急に始まったキャラクターではあるのですが、できるだけ続けていきたいと思います。では、今日はこれぐらいにしておかナイト(笑)。

 

 


紙谷さん、ありがとうございました。普段の笑プラスでの仕事についてもお話を聞いたので、そちらは別途紹介させてもらおうと思います。

SHIPでは重度障害者が地域で暮らせる社会を目指して、支援に力を入れています。まだまだ世の中に知られていない重度障害者やその支援について、騎士(ナイト)の動画でどんどん紹介していってほしいですね。

騎士(ナイト)のようにやろうと思えばいろいろ始められることや、あきらめない支援もSHIPの魅力だと思います。SHIPの職員たちには騎士(ナイト)に続いてがんばってほしいと思います。

まずは『支援をあきらめ騎士(ナイト)』のYouTubeチャンネルを登録しとかナイト!