【職員インタビュー】「試して見直して、少しずつ前へ進む支援」グループホーム「友」 守屋さん
今回は、グループホーム「友(とも)」で働く世話人の守屋さんにお話を伺いました。
大規模な入所施設から、地域色の強い社会福祉法人SHIPのグループホームへ転職した守屋さんに、環境の変化を通じて見えてきた新しい気づき・やりがいについて語っていただきました。
同じ福祉分野でのキャリアチェンジを考えている方にとって、働き方の違いやリアルが伝わる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
驚きから理解へ。「行動の背景」を知った実習施設での学び
――守屋さんは、もともと保育士を目指していたと伺いました。どのような経緯で福祉の道に進まれたのでしょうか。
守屋
もともと保育士を目指して短大に進学しましたが、障害者施設での実習が大きな転機になりました。
最初は正直に言うと少し怖い印象があり、利用者さまに突然手を掴まれて驚いたこともありました。
けれど実習担当の職員から「自分の部屋を見てほしかったのですよ」という説明を受け、行動の背景にある思いや理由を知ることで納得感が生まれました。
そこから「嫌だな」よりも「なぜだろう」という好奇心が勝るようになり、名前を呼んでもらえたり笑顔で迎えてもらえたりする経験を通じて、人と人がつながる瞬間の豊かさに強く惹かれるようになりました。
保育の道も好きでしたが、福祉の現場で感じた手応えはそれ以上で、この世界で働きたいと自然に思うようになりました。
――卒業後にまず入職されたのは入所施設と伺いました。印象に残っている出来事を教えてください。
守屋
大規模な障害者入所施設で5年間勤務しました。夜勤も多く、とくにコロナ禍の初期対応は忘れられません。
感染が確認された夜には防護服を着るなど、緊張と不安は大きかったです。
しかし、「2週間で収束させよう」を合言葉に、栄養ドリンクやヨーグルトを差し入れ合い、施設全体で一体となって向き合ったことは良い思い出です。
過酷な状況ほどチームの連帯が支えになることを骨身にしみて学び、同時に記録や情報共有の正確さがいのちを守ると痛感しました。
あの期間に得た経験は、今の自分の背骨になっています。
「福祉の学びを深めたい」~SHIPを選んだ理由~
――転職の際に社会福祉法人SHIPを選んだ理由を教えてください。
守屋
以前の職場では「もっと良い支援をしたい」という思いは強かったのですが、ケース会議が事務連絡で終わってしまうなど議論が深まらず、支援が人によってばらつく場面にギャップを感じていました。
提案しても現場に降りるまでの手続きが重く、利用者さまの変化に合わせて柔軟に見直すことが難しいときがありました。
そんな折にSHIPの職員と話す機会があり、絵カードなど言語以外の手段を使って刺激を抑えながら支援を組み立てる工夫や、ケース会議で立場を越えて意見を出し合う文化を聞きました。
現場の観察に基づいて仮説を立て、試して検証し、また見直すという循環が当たり前になっていると知り、自分が大切にしたい支援の姿と重なると感じました。
ここなら声をあげていいし、学び続けられると思い入社を決めました。
本人に届く言葉を探して
――現在「グループホーム友」ではどのような役割を担っており、どんな難しさや手応えを感じていますか。
守屋
私が担当している女性棟では精神障害や軽度知的障害の方(障害の影響が中軽度の方)が多く、一見自立して見えても生活スキルの学び直しが必要な場合があります。
例えば、歯磨きの手順や歯磨き粉の適量など、誰かが教えてくれなければ分からないまま大人になっていることも珍しくありません。
上の歯を十秒、下の歯を十秒というように視覚提示と声かけを組み合わせて練習すると、短期間でコツを掴まれる方がいらっしゃいます。
音や匂いに敏感な方には環境調整を優先し、入浴や清掃の支援では周囲の人の感じ方を具体的に伝えるなど、ご本人にとって意味が分かる言葉に訳すことを心がけます。
コミュニケーションの面では、気持ちを丁寧に拾い上げた上で境界線をはっきりさせると、人間関係のこじれが和らぎ、交流がうまく運ぶことを実感しています。
――人間関係の調整に関するエピソードがあれば教えてください。
守屋
利用者さま同士の関係がぎくしゃくしたことがありました。
片方の方は移動支援の行き先などを細かく尋ねられると疲れてしまうタイプで、もう片方の方は会話で距離を近づけたいタイプでした。
面談ではまず「挨拶を返してもらえないと寂しいですね」と気持ちに寄り添い、同時に「家では静かに過ごしたい時間がある人もいます」と別の視点も伝えました。
すぐに結論を迫らず、互いの気になる点を書き出してから短時間の話し合いを設定したところ、少なくとも生活が安定するラインまで戻ることができました。
寄り添いと線引きの両立が鍵だと改めて感じた出来事でした。
「オンとオフ」の切り替えが心地よい職場
――障害の影響が中軽度の利用者さまへの支援では、どんな難しさがあり、また、どのように乗り越えていますか。
守屋
導入初期は意欲的でも、日常に戻ると支援の手順が自然に薄れていくことがあります。
そこで視覚情報を重視し、約束事を短い文章とイラストで印刷して居室に掲示し、面談で実行状況を一緒に点検します。
熱中症対策では室温計を置き25度以上でクールリングを使うルールを作りましたが、素材の感触が合わず継続しづらい方もいました。
タオル地が好みなら保冷剤が落ちにくい工夫を加えるなど、本人の嗜好を尊重して設計し直すと続けやすくなります。
職員間で支援の細部がぶれないよう、歯磨き粉の適量など数値で共有することも有効です。
先輩やパート職員の知恵を借りながら、試しては見直す小さな改良を積み重ねています。
――「グループホーム友」の職場の雰囲気やチームの特徴を教えてください。
守屋
明るくて優しい人が多く、休憩中は冗談で涙が出るほど笑うこともあります。
けれど現場に戻れば表情が引き締まり、行動観察や記録に集中します。
朝礼で談笑が続いてしまうときには「そろそろ始めましょう」と自然に締まる空気があり、オンとオフの切り替えがとても心地よいです。
困ったときに相談すると、誰かが必ず自分と違う角度の視点をくれるので、思い込みに気づけます。担当者任せにせず全体で支える文化が根づいている点は、利用者さまの安心にも直結していると感じます。
学び直しが次の一歩に。支援者も成長できる職場文化
――「グループホーム友」ならではの強みや、働く魅力はどこにあると感じますか。
守屋
一人ひとりをよく観察し、憶測で決めつけずにまずやってみるところから始める姿勢が徹底されています。
新規利用時はできることを丁寧に拾い、難しいところだけを絞って絵カードなどの環境調整で支えます。
ケース会議では立場に関係なくアイディアを持ち寄り、結果に応じて素早く見直します。
情報は担当だけで閉じず、支援員や世話人など現場全体で共有されるため、支援が人によって変わりにくいことも安心材料です。
学び直しの機会が多く、経験がそのまま次の改善に生かせるので、成長の実感を得やすい職場だと思います。
――今後の目標や、これから挑戦したいことを教えてください。
守屋
業務面ではタスク管理をさらに磨き、期限や依頼元を明確にして優先順位を正しく判断できるようにしたいです。
面談技術はまだ伸ばせる余地があり、動機づけ面接法やアンガーマネジメントの研修なども取り入れて質を上げたいと考えています。
資格面では介護福祉士に挑戦し、将来的には准看護師の学びにも踏み出したいです。
現場での観察と記録、仮説検証のサイクルを自分の強みにし、利用者さまの変化をチームで喜べる場面をもっと増やしていきたいです。
「もっと良い支援を」と思う人へ ─ SHIPで踏み出す次の一歩
――最後に、転職を検討している方へメッセージをお願いします。
守屋
もし今の職場で「もっとこう支援したいのに」と感じているなら、社会福祉法人SHIPの環境がきっと次の一歩を後押ししてくれるはずです。
意見を出し合い、観察に基づいて支援を組み直し、うまくいかなければまた見直すという当たり前を大切にしています。
毎日の支援は決して楽なことばかりではありませんが、自分の工夫が利用者さまの笑顔につながる瞬間が確かにあります。
その喜びは何度味わっても新鮮で、仕事の意味を確かめさせてくれる職場だと感じています。
ありがとうございます!
現場での支援の経験を着実に積み重ねていっている守屋さん、
これからも頑張ってください!
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フリーランス/リワークトレーナー/タスク管理習得支援ツール「タスクペディア」原作者