【要注意】障害福祉ビジネスの甘い誘い・・・

今回は、障害福祉の現場で最近よく耳にする「事業のあり方」にまつわる問題について、少し言葉にしてみたいと思います。

皆さんの中にも、「これって本当に福祉と言えるのかな……?」と、現場で違和感を覚えた経験のある方がいらっしゃるかもしれません。

私も、現場の声に触れる中で、その違和感を無視できなくなってきました。

 

ビジネスとしての障害福祉の現状

ここ数年、放課後等デイサービスやグループホームといった障害福祉サービスが、「ビジネスチャンス」として注目を浴びるようになりました。

「安定して収益が見込める」「資格がなくても始められる」といった謳い文句とともに、コンサル会社やフランチャイズの勧誘が広がり、多くの新規事業所が設立されました。

もちろん、新たな事業者の参入によって地域の選択肢が増えること自体は、決して悪いことではありません。

けれど、その中に「障害福祉とは何か?」という本質的な問いに向き合わず、利益だけを優先してしまうような事業者が混じってしまうことには、現場として強い懸念を覚えています。

 

とくに放課後等デイサービスでは、本来の療育的支援とは程遠く、ただ子どもを預かるだけのような事業所が一部で見られるようになりました。

最近ではグループホームにおいても、「儲かるビジネス」として紹介され、福祉に不慣れな経営者が参入するケースが急増しています。

その結果、スタッフが慢性的な負担を抱え、やがて離職に至り、サービスの質が崩れてしまう。

そんな悪循環が、利用者の皆さんへ深刻な影響を与えている。そういった声が後を絶ちません。

 

 

コンサルやフランチャイズによる“参入支援”の落とし穴

新規参入する経営者の中には、制度のことも、障害のことも、福祉の理念すらも知らないまま、開業を決めてしまう方もいます。

行政対応すらすべてコンサル任せ、という話も聞きます。

もちろん「知らない」こと自体は悪いことではありません。

問題は、その「知らないままでも始められる」という風潮が、結果的に「本来守られるべき人たち」が軽視されてしまうような事業を生んでしまっていることです。

誰かの生活に深く関わる「福祉」という領域において、これは決して小さな問題ではありません。

 

現場で起きている、6つの悲しいリアル

信頼できる現場関係者から聞いた声の中には、こんな現実もありました。

 

① 期待外れの収益とロイヤリティーの負担
「聞いていた話と違う」「全然儲からない」 フランチャイズの営業トークとのギャップに苦しむ経営者

② 支援スタッフの疲弊と離職
理念なき経営方針に振り回され、心をすり減らして去っていく支援者たち

③ 未経験者への過剰な責任の押し付け
専門職やベテラン不在の現場で、経験の浅いスタッフが矢面に立たされる毎日

④ 責任感が強い人ほど辞められない悪循環
「私がいなくなったら利用者の皆さんが困るから」 残ったスタッフが燃え尽きていく構図

⑤ コンサルやフランチャイズが利益を得る仕組み
現場の混乱の一方で、仕組みを売る側は利益を確保している

⑥ 規制強化による業界全体の停滞
一部の悪質な事業のせいで、真面目にやっている事業者までが規制対象に

 

これらは決して、特殊なケースではありません。

現場で誠実に向き合おうとしている支援者ほど、こうした状況に強いジレンマを感じているのではないでしょうか。

 

 

障害福祉業界への切実なお願い

「参入すること」自体が問題なのではありませんし、新たな事業者の参入を一律に否定するつもりはありません。

むしろ、「志のある人たちが福祉に参入すること」は、社会全体にとって大きな価値だと思っています。

でも、志や理念を持たないまま始めることのリスクは、どうか知っておいてほしいと思うのです。

障害をお持ちの人の背景、支援スタッフの想い、そして支援を提供することの意味、それらを軽視したままでは、結果として誰も幸せになれません。

 

今、悩みながら働いているあなたへ

もし今、「理念と現場がかけ離れている」「このままここにいて大丈夫だろうか」と感じながら働いているのだとしたら。

その感覚は正しいのかもしれません。

転職は、簡単な決断ではありません。けれど、「安心して、支援に集中できる場所で働く」ことは、あなた自身の幸せにも、利用者の皆さんの幸せにもつながると、私は思います。

もちろん、私たちSHIPでも、理念に共感してくれる仲間を歓迎しています。でも、それが他の法人でも構いません。

どうか、自分の「違和感」を大切にして、信頼できる仲間と、一緒に支援の質を高めていける場所を探してみてください。

 

福祉という仕事の意味を、もう一度

障害福祉は、人の人生に深く関わる仕事です。

だからこそ、私たちが向き合うのは「効率」や「収益」だけでなく、「人としての価値」だと思うのです。

その原点は、これからも絶対に忘れずにいたいのです。

そして、支援者として「誰と、どんな支援をつくっていくか」を自分で選べるように、このブログがその小さなきっかけになれたら嬉しく思います。