【職員インタビュー】昨日よりちょっと良く。立ち止まることで進む「グループホーム友」石川さん

「正解はひとつじゃない。でも、暮らしは前に進む。」

そう話すグループホーム「友(とも)」の石川さん。

特性に合わせた環境づくりとチーム連携で、毎日の「安定」を積み重ねる現場のリアル、働きやすさ、そして次の一歩を聞かせていただきました。

 

もう一度、重度支援へ。原点とキャリアの現在地

――自己紹介をかねて、福祉の世界に入った理由を教えてください。

石川

学生の頃、授産施設でアルバイトをしていて、人と関わる仕事の手ごたえに惹かれました。

卒業と同時に本採用となり、以来ずっと障害福祉を軸に働いています。「人の暮らしに近いところで、お役に立てること」が私の動機です。

 

――これまでのキャリアを教えてください。

石川

2003年に授産施設で勤務を開始し、重度障害のある方の身の回りの支援に携わりました。

肢体不自由の方の車いすや座位保持装置の作成・調整、知的障害の方の生活充足やご家族対応など、現場で学ばせてもらいました。

2006年の制度改正では生活介護の立ち上げに関わり、サービス管理責任者になりました。のちに福祉サービス制度の一元化の流れを受けて医療法人へ転職し、精神障害分野で病院・行政・本人をつなぐ地域生活支援を担当しました。

2019年には就労継続支援B型の立ち上げでサービス管理責任者、その後でも同じくサービス管理責任者を経験し、2023年から社会福祉法人SHIPの「グループホーム友」で世話人を務めています。

 

現場と理念の地続き-SHIPで深まる特性理解

――SHIPを選んだ理由は何ですか?

石川

重度の支援にもう一度向き合いたい」という思いが強く、年齢的にも再挑戦のチャンスだと感じました。

SHIPは以前から評判を耳にしており、障害特性に基づく支援づくりに本気で取り組む法人だと知って、ここで挑戦したいと思いました。

選考のやりとりでも、現場の視点と法人の理念が地続きで語られていて、腹落ちしました。

 

――入社後、どんな学びや発見がありましたか。

石川

「障害特性」という言葉を中心に置いて支援を設計する文化がとても新鮮でした。

本人の特性に合わせた工夫や環境調整を、チームで検討し、試し、振り返る。なぜ必要なのかを言語化して共有する。毎日の実践に理論が通電している感覚があります。

記録も「やったこと」ではなく「なぜそれを選んだか」を残すので、次の一手が考えやすいです。

暮らしを丸ごと支える。その役割とやりがい

――今の役割と、やりがい・大変さを教えてください。

石川

役割は生活全般の支援です。通院同行など医療面も含め、暮らしを丸ごと支える仕事です。

ご本人が安心して日課を過ごせるよう動線や声かけを整え、困りごとが起きたらチームで要因を探ります。

大変さは「正解が一つではない」こと。 しかし、生活の安定が顔つきや睡眠、食事量に少しずつ表れてきたとき、「支えになれている」と実感できます。

 

――「友」には、どのような入居者の方が多いですか。

石川

自閉スペクトラム症の特性がある方が多いです。

見通しや感覚面の配慮、環境の一定さが暮らしの安心につながります。日課のリズム、物品の配置、声のトーンといった細部の丁寧さが効いてきます。

 

衛生も尊厳も守る。「すぐ動ける」部屋づくり

――印象に残る支援の場面を教えてください。

石川

汚れの課題への対応です。

居室や衣類が便や尿で汚れてしまうことがあり、「時間が来たらまとめて対応」という従来の段取りと、衛生面のバランスをどう取るか悩みました。

私たちは「快適性と権利」を軸に置き、汚れたらすぐ着替えられる導線や予備の配置、合図の工夫を導入。スタッフ間で判断基準をそろえ本人の負担が少ない流れに整えました。

完璧ではありませんが、においや不快の訴えが減り、生活の質が上がったと感じています。

 

――支援で大切にしている価値観は?

石川

本人の快適さ」と「権利」です。何を大事にするかが曖昧だと、支援が「やり方」に寄ってしまいます。

快適さと権利を明確にすると、選ぶ手段にも一貫性が出ます。

 

ひとつの正解より、たくさんの「次の一手」

――一方で、課題やジレンマもありますか。
石川

再現性の難しさです。同じ手立てでも日によってうまくいかない

ある動作を繰り返せている状態を「自立」と見なせるのか、支えの密度をどう調整するのか。

現場にはこういった「揺らぎ」がつきものです。

 

――その揺らぎに、どう向き合っていますか。
石川

「正解・不正解」ではなく「より良い仮説」を重ねる姿勢です。

様々な事例や価値観に触れ、チームで仮説を立て、やってみて、ふり返る。理念はぶらさず、方法はしなやかに

SHIPにはそのための対話と記録の文化があると感じています。

 

「昨日より良い一日」をまわす支援

――一日の流れを簡単に教えてください。
石川

早番で入居者さんの起床支援、整容、朝食、服薬。

日中は通所の準備や受診同行、生活環境の整え。

夕方は帰宅の受け入れ、入浴や夕食、就寝準備。

合間に記録と打ち合わせを挟み、次のシフトに引き継ぎます。

どの場面も「安心して暮らせるか」を軸に考えます。

 

――どんな人がこの仕事に向いていると思いますか。
石川

小さな変化に気づくのが好きな人、チームで考えるのが好きな人だと思います。

「昨日より良く」を地道に積み上げられる方は、入居者さんの安定と一緒に、自分の成長も実感できます。

 

否定しないチーム。焦点はいつも「より良い支援」

――一緒に働くスタッフはどんな人が多いですか。
石川

穏やかで、芯のある人が多いですね。自分の考えを持ちながらも、組織としてのふるまいを意識できているように思います。

意見が分かれたときも、相手を否定せずに「より良い支援」に焦点を戻せる人たちです。

新任のスタッフさんに対しても、まず「何ができているか」を見つけて伝える文化があって、安心して学べます。

 

――事業所としての推しポイントは?
石川

生活の枠組みが安定していること。極端なやり方に走らず、日課や環境を一定に保つことで、入居者さんが落ち着いて暮らせます。

派手さはないですが、毎日の小さな安定が積み重なる場所です。チームの空気も穏やかで、相談や助け合いが自然に起きます。

 

立ち止まれる風土が、前進をつくる

―― 入社前に不安だったことは?入ってみてどうでしたか。
石川

自分の経験が通用するか」は不安でした。

ただ、SHIPでは特性理解に基づく考え方が共有されていて、分からないことは立ち止まって一緒に考える風土があります。

独りで抱え込まずに済むのは、現場にとって大きいです。

 

――今後の目標を教えてください。
石川

業務全般を丁寧に、です。基本動作をおろそかにせず、チーム連携と記録を積み重ねる。入居者さんの変化に気づける目を磨き続けたいです。

新任のスタッフさんに伝える語り口も整えて、学び合いを循環させたいと思います。

 

次の一歩は、棚おろしから。

――最後に、転職を考えている方へメッセージを。
石川

自分のキャリアを「棚おろし」してみてください。積み上げた経験と、これから積みたい経験。その両方を見て、勇気を持って選んでください。そして、応募の一歩を安心して踏み出してもらえたらうれしいです。

 


 

ありがとうございます!
気づきを丁寧に積み重ね、特性に寄り添う支援を続ける石川さん、
これからも頑張ってください!

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