【パート職員インタビュー】行動の意味を読み解く面白さが、この仕事の魅力!生活介護「笑プラス」南沢さん
重度知的障害や強度行動障害という言葉や、その支援の仕事と聞くと「大変そう」というイメージを持たれるかもしれません。
けれど実際には、利用者様の表情や行動に寄り添いながら「どうすればもっと過ごしやすくなるだろう?」と一緒に考えていくことは、とても奥深くやりがいのある仕事です。
今回は、生活介護事業所の「笑プラス」の南沢さんにインタビューさせていただきました。
ここでは、南沢さんが福祉の道を選んだきっかけや、SHIPで働くようになった理由、そして日々の仕事や学びについてご紹介します。
これから障害福祉に関わってみたい方に、少しでも現場のリアルな雰囲気を感じていただければ嬉しく思います。
福祉の道は、小さな出会いから
高校卒業後、福祉の専門学校へ進学し、老人保健施設で約5年勤務。その後は家庭との両立のため、特養やデイサービスで10年以上、高齢者福祉に携わってきました。
福祉に興味を持ったのは小学生の頃の体験学習です。初めて訪れた老人ホームで、認知症の方と何度も同じ会話を交わしながらも、みなさんの穏やかな雰囲気に包まれて「楽しい!自分に合っている」と感じました。
その感覚は高校時代に祖母が認知症になった時も変わらず、「これからは、もっと学んで専門性をつけたい」と思い、福祉の道を選びました。
私がSHIPを選んだ4つの理由
長く高齢分野で働く中で、自分は「言葉で支援する」より「行動観察や行動分析」で力を発揮できると気づきました。そこで以前から関心のあった障害福祉に挑戦することを決めました。
勤務先を選ぶ際は「通勤距離」「オープニングスタッフ」「社会福祉法人」「理念への共感」の4つのことを条件にしていました。
家庭と仕事の切り替えができる距離感、ゼロから仲間と一緒に創れる環境、安心して支援に臨める運営母体、そして支援にかける想いの一致。この全てに合致したのが社会福祉法人SHIPでした。
「履かない」という選択から学んだこと
笑プラスの開設当初、ある利用者様が上履きをどうしても履かないという場面がありました。
どんなに促しても拒否。結果的に「履かない」というこだわりを尊重することになりましたが、そこに至るまでのアセスメントが大きな学びになりました。
行動を細かく分け、玄関での動作や視線、靴箱の位置などを一つひとつ本人の視点で確認。自分でも同じ行動をしてみて、「まず何を目にするのか」「手や足との位置関係はどうか」と思いを馳せながら観察しました。
こうした日々の観察と工夫が、根拠ある支援につながると実感した最初の経験でした。
利用者様と一緒に過ごす一日の仕事
現在はパート職で週5日、9:00〜17:00勤務。
残業はなく、お休みも取れ、ワークライフバランスも取れているので、現状に満足しています。
入社当初は、不要範囲内で働くため週4日、9:00~15:00までの勤務でしたが、利用者様と最後まで関わりたい気持ちが強くなり、徐々に勤務時間を増やしてもらいました。
利用者様との活動は大きく2つ。
ひとつめの「自立課題プログラム」では、色や形のマッチングなど、一人で最後まで取り組める課題を設定し、達成感や自信につなげます。
新たに自立課題を作るときは難しさを感じます。障害の特性に配慮しながら、強みを活かし弱みを補う構成を考えます。ですから、利用者様が理解して取り組んでいただけた時には「やった!」と一緒に喜んでしまいます!
笑プラスでは、このようにスタッフみんなの想いの詰まった自立課題がたくさん生まれています。
ふたつめは「運動プログラム」です。屋外ウォーキングや室内サーキットを通じて、身体を動かすだけでなく気分転換やリラックスも大切にしています。四季を感じながら歩くと、利用者様だけでなく私自身もリフレッシュできます。
実際に、外での活動を楽しみにされている利用者様は多くいらっしゃいますが、屋外活動は危険を伴うこともあり、常に緊張を強いられます。ですから、一番意識することは『安全』に実施することです。
ご家族から命をお預かりしていることを忘れず、スタッフ同士で連携しながら支援しています。
「共感」から「前向き」につながる職場での会話
話し言葉を持たない利用者様に対しては、視覚的ツールや、表情やしぐさ、態度といった非言語のコミュニケーションを重視しています。
とくに、利用者様がパニックになった時には、「なぜそうなっているのかを理解したい」という気持ちで関わることが大切です。
激しい行動を前に、私たちは無意識に、驚きや焦り、不安や無力感を覚えてしまう。そしてそれが相手に伝わり、さらに混乱を与えてしまうことにもなりかねません。
逆に、落ち着いた穏やかな雰囲気を心がけることで、安全であることを共有しながら、少しずつ落ち着きを取り戻してくださることもあります。
スタッフ同士の関わりも大きな支えです。とくに、新人の頃は失敗の連続で、弱音を吐いたり愚痴をこぼすこともありましたが、誰も否定せず共感してくれました。みんな同じ経験をしてきているからです。
6年目になった今では、新人スタッフのみなさんと過去の失敗を共有したり、支援の失敗や弱音に共感している自分がいます。自分の感情を冷静に調整するための雰囲気が、スタッフ同士の支え合いの中で育っている感覚があります。
そして話は必ず「利用者さんには何が起きていたのか」「どうすれば良い支援ができるか」という前向きな方向へ進みます。
こうしたやりとりがあるからこそ安心して働けるし、4つの条件に沿って入社を決めてよかったと感じています。
入社した理由が、ここでカタチになった
障害福祉の世界に入った当初は、戸惑いや自責の気持ちでいっぱいでした。
ある日、利用者様に追いかけられ、突然 頭を叩かれた時には、本当に驚きましたし、正直ちょっと泣きたくなったのを覚えています。
ところが先輩たちは冷静に「なるほど、あの場面で叩くのか」などと話していて、その姿勢に衝撃を受けました。
最初はショックや戸惑いを感じましたが、次第にそれが「行動を観察し、分析して理解する」ための大切な視点なのだとわかってきました。
やがて私も「できなかった」という自責から抜け出し、「どんな刺激がその行動につながったのか」「本人からはどう見えていたのか」という視点を持てるようになっていきました。
また、「社内研修」は重要なサポートになっています。
月に1度、パート職員を含む全員参加の研修が設けられており、障害特性の理解、虐待防止の視点、コミュニケーションスキルなどについて、ディスカッションやロールプレイを取り入れながら実践的に学びます。
このような場で、支援上の困難について、「事実と主観」を分けてとらえてみると、意外にも自分の「無知や思い込み」に気づかされます。そのうえで、利用者様にとって最良のサービスを検討していく環境は、わたしの望んでいたものでした。
そして、少しずつですが、自分も落ち着いて観察できるようになり、行動の意味を考えて次の支援につなげられるようになったのです。
これは「行動観察と行動分析の力を磨きたい」と思って入社した自分にとって、確かな成長を感じられる瞬間でした。
支援を通して「自分も成長できる」場所
この仕事の一番の魅力は、やはり利用者様と関われることです。
重度の知的障害や強度行動障害をお持ちの方々が、日々多様な表情や姿を見せてくださいます。その一生懸命さや最後までやり遂げる力には、こちらが勇気をもらうことも多いです。
職場の仲間たちも、理念を共有しながら「そういう考え方もあるんだね」と受け入れ合う柔軟さを持っています。
支援のことを真剣に話し合いながらも、お互いに支え合える環境がある。だから安心して挑戦できるし、この仕事を続けたいと思えるのだと実感しています。
難しそうに思えるかもしれませんが、実際に関わると毎日が発見の連続です。
そして、SHIPには研修や資格取得支援もあり、未経験の方でも安心してスタートできる環境があります。
私自身も最初は不安でしたが、仲間や利用者様のおかげで成長することができました。
もし少しでも興味を持たれた方がいれば、ぜひ一度現場をのぞいてみてください。きっと「やってみたい」と思える瞬間があるはずです。

国家資格:公認心理師・精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士
その他:SE™プラクティショナー/ TSM(トラウマセンシティブマインドフルネス)修了 など
『努力すること』と『執着を手放すこと』のバランスを研究し、自分自身の最適化を目指して精進中