【職員インタビュー】タスク管理で気づいた「子育てと仕事の両立」のコツとは? 『EXP立川』野口さん
EXP立川の主任トレーナーの野口さんに、『子育てと仕事の両立』についてお話をうかがいました。
野口さんは3人のお子さんを持つシングルマザーです。お子さんの発達障害も、今の仕事に就くきっかけだそうです。
EXP立川のプログラムは、スタッフが実際に試して、利用者様にアウトプットしていますが、「タスクペディア」などのプログラムをご自身で試してみたことで、子育てと仕事の両立が上手くいくようになったそうです。
どんなことを実践しているのか、くわしく聞いてみました。
――子育てとの両立は、最初はどうでしたか?
野口:EXP立川に入った当初は、新しい仕事と家事とやることがいっぱいで、本当に死にそうになっていました(笑)。
EXPのプログラムを覚えたり作ったり、でも家のこともやらなきゃいけないし、子どもは進学や受験の真っ最中で、それに加えて自分の資格の勉強もやりたいと思っていました。
私は昔から、「家事」「子育て」「仕事」を、自分ひとりで、全部ちゃんとやろうとしていました。
今考えると、子どもが3人いる以上、全部完璧にやろうというのは難しいな、身体を壊しちゃうなと思います。
――そんな状況を見直すきっかけは何だったのでしょうか?
野口:EXPのプログラムで、「自分の優先順位の低さ」に気づいたことです。
小鳥遊さんの「タスクペディア」でタスク管理をしたとき、自分の一日のタスクを並べて、優先順位を決めたのですが、「自分の優先順位って低いんだな」と初めて気づきました。
母親業、奥さん業をやっている方は似たようなことあるかと思うのですが、どうしても自分のことは後回しになってしまいます。
毎日やりたいことがいっぱいあるんですが、子どもたちや家のことが優先で、自分のやりたいことは最下位で、毎日できない日々が続くんです。
仕事もして家のこともしていくと、結局自分のことが何もできません。心と体がだんだん枯渇してすり減って気力もなくなって、すごくつらいです。
その他のプログラムでも、利用者様に、「自分がやりたいことを大事にする」「自分がやりたいことは何か聞く」支援をする中で、自分自身にその視点がなかったとはっと気づかされ、「私自身の本当にしたいことって何なんだろう」と思うようになりました。
それで、何十年も上げたことのなかった「自分の優先順位」を上げてみたんです。
――具体的にどんなことをしたんですか?
野口:それまでは日曜日も「家の片づけをして、買い物に行って、子どものしたくをして…」と思っていたのを、「映画に行きたい」という自分のやりたいことを最優先にしてみたんです。
いつもなら「子どもたちが起きてくるまでに朝の準備をして待っていないと」と思うところを、「とりあえずパンと即席のスープだけ置いて、朝一で映画に行ってみよう」と思い、実行しました。
たった1~2時間の映画だったのですがすごく感動して涙を流して、スッキリした気持ちで家に帰りました。「子どもたちはどう思っているのかな…?」と心配していたのですが、だれも気にしていなくて(笑)。
「やらなきゃいけないと思っていたのは自分だけだったんだ」と初めて気づきました。それで、「土日は自分のやりたいことをやる時間はちゃんと作ろう」と思うようになりました。
--他には両立のためのコツはありますか?
野口:コツは「ひとりで全部やらない」ということですね。
タスクペディアで今まで全部ひとりでやろうとしていたタスクをならべてみて、「この量はとても無理だ」と可視化することで初めて分かりました。
また、自分の限界に気づいたことで、前まで子どもになかなか言えなかった「手伝って」という言葉が言えるようになりました。
昔は子どもにはどうしても「やりなさい」といった言い方をしてしまいましたが、「そもそも自分自身がそんなにできる人間じゃない」と受け入れられるようになって、子どもに「お母さんは、今日はこれとこれをしなきゃいけなくて、手一杯だから、できないんだ。手伝って」という言い方ができるようになりました。
本当に、EXPに来たから、言えるようになったと思います。子どもからも「お母さん、変わったね」と言われます。
言ってみると、意外とやってくれるんですよ。お母さんが大変そうだと思ったらお風呂を洗ってくれるし、洗い物がたまっていたら必要な食器は自分で洗って持ってくるんです。
「あ、なんだ、子どもたちはみんなできるんだ」「全部やらなきゃと自分で勝手に思っていたんだ」と気づかされました。
全部自分でやろうとしないことで、家の仕事を抱え過ぎなくなって、ストレスもためなくなったのはすごく大きいと感じています。
また、「家は家」「仕事は仕事」と割り切ること、その中で全部はできないので「できる最低限をやろう。できなかったら伝えて手伝ってもらおう」というのが、お互いにほがらかになって、上手くやっていく方法かなと、EXPに来て感じています。
野口さん、ありがとうございました。
子育てと仕事の両立には、実は力を抜いて自分のやりたいことを優先する時間も必要だったというお話、素敵ですね。
仕事や家事を全部やろうとしてしまうというのは、けっこう思い当たる人がいそうです。
やることがいっぱいで大変な方は、ぜひぜひタスクペディアを試してもらえたらと思います。頭の中からタスクを出してみるだけでも、野口さんのように初めての気づきがあるかもしれません。

障害福祉マンガ劇場「人生のてんかん記」作者・パープルカフェ主催・難治性てんかん当事者
元グループホーム(ラファミド八王子)職員・現在は自宅で仕事
国家資格:精神保健福祉士・社会福祉士